新型肺炎、高齢者や持病ある人に高い致死率 対策難しい無症状の人からの感染

新型コロナウイルス感染症が高齢者や持病がある人ほど重症化しやすい傾向は、中国疾病対策センターが17日付で発表した大規模な発症例の分析結果でも浮き彫りになっている。
センターは、11日までに中国国内で報告された疑い例や無症状例を含む患者約7万2300人のうち、新型コロナウイルスの感染が確認された約4万4700人のデータについて、年代や症状、経過などを分析した。症状をみると全体の80・9%は軽症と分類され、重症例が13・8%、亡くなるなど極めて重篤な症例は4・7%だった。
発症者の年代をみると50代が最も多く、30~60代で全体の8割近くを占めた。
全体の致死率は2・3%だったが、年代別で見ると▽10代から30代が0・2%▽40代が0・4%▽50代が1・3%▽60代が3・6%▽70代が8%▽80代が14・8%――と、年齢が高いほど致死率が高まる傾向がみられた。男女別の致死率は男性が2・8%で女性の1・7%を上回った。
死者1023人のうち大半は何らかの持病を持っており、60歳以上が829人を占めた。
患者の持病ごとの致死率は、心疾患10・5%▽糖尿病7・3%▽慢性呼吸器疾患6・3%▽高血圧6%▽がん5・6%――で、持病がない人の0・9%を大きく上回った。
自治医大病院の森沢雄司感染制御部長はこの分析などから「中国のデータでも高齢者の致死率は思っていた以上に高く、高齢者にとっては今回の新型コロナウイルス感染症を深刻な事態と捉えるべきだ。無症状の人から感染することもあるといわれており、非常に対策が難しい」と指摘した。その上で「今大事なことは高齢者をいかに守るかということ。高齢者施設に入居している人やスタッフ、自宅で同居する家族などは手洗いを徹底し、病原体を持ち込まないように注意する必要がある」と訴えた。【須田桃子、岩崎歩】