政府は20日の衆院予算委員会理事会で、黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を巡り、国家公務員法の定年制を検察官に適用するとした解釈変更の経緯を示す文書を提出した。文書に日付の記載はなく、人事院の文書は決裁を経ていないことも明らかになった。野党は「信ぴょう性が疑われる」と反発を強めている。
法務省と人事院は国家公務員法の解釈変更について1月22~24日に協議し、人事院が1月24日に了承したと説明している。
20日の衆院予算委で、森法相は「政府統一見解として、1月24日に勤務延長が可能になった」と述べた。野党共同会派の今井雅人氏は「解釈変更の議論を本当にしていたか分からない」と疑念を示し、証拠となる文書の提出を要求した。
これを受け、法務省と人事院が解釈変更の経緯を記した文書を提出。「人事院として(解釈変更に)異論を申し上げない」などと記されているが、文書の作成年月日や解釈変更した日付の記載はなかった。
野党共同会派の小川淳也氏が「こんな重要文書に日付を打っていないのは初めて見た」と批判した。これに対し、森氏は「(1月下旬に)協議されたのは確実だ」として、省内の必要な決裁を経ていると説明。しかし、人事院の松尾恵美子給与局長は「(決裁は)取っていない」と述べた。