重症化の不安現実に…乗客「隔離以外なかったのか」 クルーズ船死者

新型コロナウイルスによる肺炎をめぐり横浜港に停泊中の大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で20日、乗客の80代の男女が死亡した。
政府は乗客らを船内に「隔離」し感染拡大を防ぐ方策をとったが、重症化しやすい高齢の乗客も多く、懸念が現実となった形。下船者らからは「他に方法はなかったのか」との声もあがった。
「症状の変化を逐一把握するよう努めていた。残念ながらお亡くなりになってしまったが、(感染拡大防止と救急医療の)両者を適切にやってきた」。乗客2人が死亡したのを受けて記者会見した厚労省の担当者は、船内に乗客らを留めおいたことの是非を問われ、こう強調した。
死亡した2人のうち、男性は気管支ぜんそくと狭心症の治療歴があった。女性は持病がなかったが、5日に体調を崩し船内で医師の診察を受けた後、約1週間後に医療機関へ搬送された。担当者は2人に対し、一部で効果が報告された抗エイズウイルス(HIV)薬を投与したことを明かし「現時点では情報が限られている。さらに分析が必要だ」と繰り返した。
死亡した男性が居住する神奈川県の黒岩祐治知事は、記者会見で「結果的には徹底的な感染防止ができなかった。(船内で)隔離している間に新たな感染があったということは否定できない」と述べた。
約2週間の船内待機を終え陰性となり19日から下船を始めたクルーズ船の他の乗客にも動揺が広がった。
島根県の団体職員の男性(65)は「せっかくの楽しい旅行をしていてウイルス感染で亡くなられたというのは…」と言葉を詰まらせ、「(別の)隔離施設に乗客乗員を全員入れて診てもらうのがベストだったのでは」。さいたま市の男性(77)は「船内はいつ感染してもおかしくない状況だった。もしかしたら自分だったかもしれない」と打ち明けた。