新型肺炎「不安受診」で医療現場“崩壊”危機! 野党・メディアは「検査増やせ」批判するが…軽症者殺到で感染リスク増にも 医師・村中璃子氏が緊急寄稿

新型コロナウイルスをめぐり、一部野党やメディアから「日本の検査数が少なすぎる」と批判が出ている。だが、世界保健機関(WHO)で新興感染症対策に携わった医師でジャーナリストの村中璃子氏は緊急寄稿で、症状が軽い人の「不安受診」や「フライング受診」が相次げば、医療現場の崩壊につながりかねないと指摘する。◇ 新型コロナウイルスの感染が広がっている。テレビやネットには数時間おきに新たな感染者に関する速報が流れ、どこでどんな感染者が出たのか追いきれない状況になっている。「やっぱり怖い」という思いが募る一方で、仕事や付き合いもあり、集まりや人ごみにまったく行かないというわけにもいかない。 政府は「ここ1、2週間が正念場」というが、一体どうしたらいいのだろうか。 感染者の報告が相次ぐなか、最近ひと際注目を浴びたのは、2月23日に北海道から発表された20代女子学生のニュースだった。女性は、22日に意思疎通が難しくなり、自分で救急車を要請。搬送先の医療機関で肺炎が確認され、23日に新型コロナ陽性が判明したという。「重症化するのは高齢者」と言われ続けてきたなか、若い女性がいきなり人工呼吸器につながれたというニュースは私たちに少なからぬ動揺を与えた。 ところが早くも翌24日、北海道から女性はすでに回復傾向にあるという発表があった。タイミングよく医療につなげられたことで一命をとりとめたのだろう。不安と緊張が高まるなか、ほっと息をつくいいニュースだ。 しかし、ちょっと待ってほしい。このニュースは「よかった」と言うだけで終わらせるべき話ではない。大事なのは、女性が必要なタイミングで必要な医療を受けることができたという事実だ。ウイルス性の感染症では「サイトカインストーム」と呼ばれる過剰免疫の状態が起き、若い人でもごくまれに重症化することが知られている。嵐のようにやってきて命を脅かすが、適切な医療で支えてやれば、嵐のように立ち去る。 市中感染拡大という新局面を迎えた日本で、いま一番大切なのは、「重症者のための医療を確保すること」だ。2009年の新型インフルエンザ流行時も、患者が殺到して医療現場がパンクし、必要な治療を受けられない人が続出した。 幸い新型インフルエンザの病原性は想定されていたよりもずっと低く、季節性インフルエンザと同程度であったが、新型コロナはまた別だ。無症状でも感染力があり爆発的に広がる新型コロナは、人が集まるところで広がる。軽症者が病院に殺到すれば、医療を崩壊させるだけでなく、感染拡大のきっかけともなる。
新型コロナウイルスをめぐり、一部野党やメディアから「日本の検査数が少なすぎる」と批判が出ている。だが、世界保健機関(WHO)で新興感染症対策に携わった医師でジャーナリストの村中璃子氏は緊急寄稿で、症状が軽い人の「不安受診」や「フライング受診」が相次げば、医療現場の崩壊につながりかねないと指摘する。

新型コロナウイルスの感染が広がっている。テレビやネットには数時間おきに新たな感染者に関する速報が流れ、どこでどんな感染者が出たのか追いきれない状況になっている。「やっぱり怖い」という思いが募る一方で、仕事や付き合いもあり、集まりや人ごみにまったく行かないというわけにもいかない。
政府は「ここ1、2週間が正念場」というが、一体どうしたらいいのだろうか。
感染者の報告が相次ぐなか、最近ひと際注目を浴びたのは、2月23日に北海道から発表された20代女子学生のニュースだった。女性は、22日に意思疎通が難しくなり、自分で救急車を要請。搬送先の医療機関で肺炎が確認され、23日に新型コロナ陽性が判明したという。「重症化するのは高齢者」と言われ続けてきたなか、若い女性がいきなり人工呼吸器につながれたというニュースは私たちに少なからぬ動揺を与えた。
ところが早くも翌24日、北海道から女性はすでに回復傾向にあるという発表があった。タイミングよく医療につなげられたことで一命をとりとめたのだろう。不安と緊張が高まるなか、ほっと息をつくいいニュースだ。
しかし、ちょっと待ってほしい。このニュースは「よかった」と言うだけで終わらせるべき話ではない。大事なのは、女性が必要なタイミングで必要な医療を受けることができたという事実だ。ウイルス性の感染症では「サイトカインストーム」と呼ばれる過剰免疫の状態が起き、若い人でもごくまれに重症化することが知られている。嵐のようにやってきて命を脅かすが、適切な医療で支えてやれば、嵐のように立ち去る。
市中感染拡大という新局面を迎えた日本で、いま一番大切なのは、「重症者のための医療を確保すること」だ。2009年の新型インフルエンザ流行時も、患者が殺到して医療現場がパンクし、必要な治療を受けられない人が続出した。
幸い新型インフルエンザの病原性は想定されていたよりもずっと低く、季節性インフルエンザと同程度であったが、新型コロナはまた別だ。無症状でも感染力があり爆発的に広がる新型コロナは、人が集まるところで広がる。軽症者が病院に殺到すれば、医療を崩壊させるだけでなく、感染拡大のきっかけともなる。