東京都目黒区で2018年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が死亡した事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の優里被告(27)に対し、東京地裁の裁判員裁判は17日、懲役8年(求刑・懲役11年)の判決を言い渡した。守下実裁判長は「食事制限は苛烈で、不保護の態様も悪質。優里被告も相応の役割を果たしており、厳しく非難されるべきだ」と述べた。
判決は、父親の雄大被告(34)=保護責任者遺棄致死、傷害の罪で起訴=による食事制限は18年1月から始まったと認定。結愛ちゃんは亡くなるまでの1カ月余りで体重の約25%を失ったとし、「明らかに不相当で苛烈」と指摘した。
さらに、優里被告は「しつけ」と称する雄大被告の暴行を認識していたとし、「やめてとは言ったが、結果的に容認した」と非難。結愛ちゃんの命を守る立場にあったのに、児童相談所の面会を拒んだ上、虐待の発覚を恐れて嘔吐(おうと)を続ける結愛ちゃんを病院に連れていかなかったとし、「(結愛ちゃんの)感じた苦しみ、悲しみ、絶望感は察するにあまりある」とした。
判決は一方で、優里被告側が主張した雄大被告からの心理的ドメスティックバイオレンスについても検討。心理的影響は量刑上考慮すべきだとしつつ、離婚を切り出して抵抗するなど乗り越える契機があったと指摘。「最終的には自らの意思に基づき、指示を受け入れ、従っていた。責任を大幅に減じる事情とはできない」と述べた。
判決によると、優里被告は18年1月下旬ごろから、結愛ちゃんに食事を制限するなどの虐待を加え、同2月下旬ごろには極度に衰弱していたのに医療措置を受けさせず、同3月2日に肺炎による敗血症で死亡させた。【巽賢司】