新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大は飲食業界にも大きな影響を与えている。外食や企業の接待などの機会も減る中、高級料理店にもキャンセルが相次ぎ、「予約が取れない」ことで評判の名店も入りやすくなっているというのだ。
政府の専門家会議は、距離の近い接触が多くの人との間で一定時間続くような集会への参加を避けるよう求める見解を公表。1人から多数の人に感染が起きやすい場所として、立食パーティーのような「互いに手を伸ばすと届く距離で、多くの人が対面で一定の時間以上、会話するような環境」が例示された。
「自粛要請が出たところで、パーティーや接待のお客さまのキャンセルは多少は出始めている」
全国で高級レストランなどを展開する運営会社の広報担当者は、こう漏らす。
普段は2~3カ月先まで予約で埋まる東京・銀座の人気フランス料理店では、当日に来店するランチ客も減少したという。「『極力電車には乗車を避けたいので、残念なんですが』という形でキャンセルが入っている」と広報担当者。
街の名店もあおりを受けている。東京・市ケ谷の「予約がとれない焼き肉店」と定評のある「ヒロミヤ」では、10人以上の貸し切り部屋で4件に1件程度の割合でキャンセルが相次いでいるという。
「過去にはないですね」と店舗担当者。貸し切り部屋については「一度ご来店いただいたお客さまがその場で次の予約を入れる感じなので、2年ぐらい先まで埋まっている。キャンセルが出た場合、ホームページとツイッターでその都度お知らせしている」と明かす。
グルメジャーナリストの東龍(とうりゅう)氏は、「レストランでは生命線となる団体客を中心にキャンセルが多い。高級店の場合、値下げをしようにも、ブランド価値が毀損(きそん)したり、再値上げの際にハレーションを考慮するのでやりにくいし、数万円のコースの場合、利用者のパイも少ない。3~4月は歓送迎会シーズンでもあり、非常に痛手だ」と指摘する。
一方で、東龍氏は、名店の味を楽しみたい人には狙い目だと提言する。「普段予約のとれない店も簡単に取れるので、名店に行きたいと思っていた人にとっては今がチャンスといえる。路地裏など規模が小さい名店なら、高級店よりは気軽に行きやすいのではないか」とアドバイスした。