新型コロナウイルスの感染拡大で、SNSでデマや不正確な情報が横行している。感染していない人が感染者だと名指しされたり、誤情報がきっかけで商品が品薄になったりする影響も出た。専門家は安易な拡散に注意を呼びかけている。
「行動を制限せざるを得ない。無責任にうわさを広めることで重大な被害につながった」。静岡市のねじ製造会社「
興津螺旋
( おきつらせん ) 」の柿沢宏一社長(47)は苦しい胸の内を明かす。
同市では2月末、集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を下船した60歳代の男性の感染が確認された。この後、柿沢社長が感染者だとする投稿がツイッター上に相次ぎ、会社にも「社長がウイルスをばらまいている」などの複数の電話があったという。
ビルの壁材としても広く使われる花こう岩が「コロナウイルスに効く」などのうわさも。これを受け、フリーマーケットアプリなどでは数千円で販売された。愛媛大の大藤弘明教授(鉱物学)は「どこにでもある普通の石。ウイルスへの効果はなく、科学的根拠は全くない」と否定する。
「トイレットペーパーが品薄になる。製造元が中国だから」――。全国的なトイレットぺーパーの品薄状態を起こしたこのデマは、2月下旬から出回った。日本家庭紙工業会によると、トイレットペーパーは国産が98%を占める。鳥取県米子市の「米子医療生活協同組合」は3日、職員がSNSでこうした投稿をしたとして謝罪した。
デマが広がりやすい背景には、スマートフォンとSNSの普及で情報が簡単に拡散されることがありそうだ。流言に関する著書もある中央大の松田美佐教授(社会情報学)は「ウイルスに対して社会的な不安が高まっており、情報の真偽が判断しにくい状態になっている。『正しい』と思った情報であっても、安易に拡散させるのは慎むべきだ」と話している。