組織犯罪に対するスペシャリストと暴力団幹部との癒着現場をスクープ
1月下旬のある晩、六本木にある高級カラオケ店から、コワモテの中年男性と美女が二人ずつ並んで出てきた。写真左端のネクタイ姿が警視庁組織犯罪対策第3課(組対3課)のM警部補(51)。右端が、住吉会系暴力団幹部のX組長である。
二人は互いに頭を下げて別れ、その後、M警部補と美女は腕を絡ませながら歓楽街を歩いていく。5分ほどすると、ラブホテルへ一緒に入っていった。二人がホテルで過ごしたのは1時間ほどだった。
「Mが所属する組対3課は、暴力団についての情報収集を行う部署です。通常、刑事が暴力団関係者と会う場合は二人一組で会うのが原則ですが、Mは一人でX組長に会っていました。女を呼んだのも、代金を支払ったのもX組長でしょう。定期的にこのような会合が開かれているようです」(捜査関係者)
現役の刑事がヤクザの組長に女をあてがわれる――。まるでVシネマのワンシーンのようだが、現実に起こっていることだ。M警部補と暴力団の「爛(ただ)れた関係」はこれだけに留まらない。
別の捜査関係者がこう話す。
「マル暴の刑事は、暴力団の情報を入手しなくてはならないため、暴力団関係者と親しく付き合うことがあります。ただ、Mは越えてはいけない一線を越えていました。彼は、X組長とは別の住吉会系暴力団幹部にもキャバクラでおごってもらうなど、警察内でもヤクザとの癒着を指摘する声がくすぶっていたんです」
本誌がM警部補を直撃すると、「私の一存では答えられませんので、後ほどご連絡させていただきます」と話した。代わって、警視庁広報課はこう答える。
「現在、調査中のため、回答については差し控えさせていただきます」
X組の事務所にも取材を行ったが、同様に回答を得ることはできなかった。
暴力団事情に詳しいノンフィクション作家の森功氏は話す。
「暴力団側も、警察の捜査情報は喉から手が出るほど欲しい。だから飲食を共にしたり、女をあてがったりして、警察官を籠絡(ろうらく)しようとするのです。今回も、刑事が暴力団側の仕掛けた罠にはまったということでしょう。
暴力団対策法はもちろん、暴力団排除条例でも市民に反社会的勢力と付き合わないように呼び掛けています。取り締まる側の捜査員も、原則として暴力団と交際することは許されていません。それが高級カラオケ店で接待され、あげく用意された女性とラブホテルに行ったというのは言語道断です」
警官さえもたぶらかす反社会的勢力の増長を許してはならない。
PHOTO:武田新一郎