新型コロナウイルスに感染した山梨県内の60代会社員男性がコンビニエンスストアでのアルバイトを保健所に隠していた問題を受け、県は感染者の行動把握と濃厚接触者特定を強化するため、長崎幸太郎知事直轄の「感染症対策特別チーム」を発足させた。感染者のプライバシー保護との兼ね合いに難しさを指摘する声もあるが、虚偽申告や隠蔽、矛盾を見破るため、ヒアリングに万全を期すよう、県警からの出向者7人も加わった“特捜班”だ。(渡辺浩)
虚偽申告で混乱
バイトを隠していた男性は食品関係の会社の社員。6日にPCR検査で陽性が確認され、入院した。2月21日、複数の感染者が確認されている大阪市内のライブハウスでのコンサートに参加し、23日に帰宅した。
当初の保健所への説明では、28日夜に37度台の発熱が出た後、自宅療養していたとしていたが、実際には3月1、2、4、5日の夜に山梨市の「セブン-イレブン山梨上石森店」で働き、接客していた。
男性は7日午前4時ごろ、店のオーナーに感染を電話連絡し、オーナーは午後9時ごろ、保健所に「従業員が感染したのではないか」と照会した。
男性が保健所にコンビニ勤務を否定したこともあり、オーナーの照会から、長崎知事が8日午後4時過ぎに記者会見して公表するまで約19時間かかった。
慎重過ぎる対応
男性は副業として夜間、コンビニで働いており、保健所に嘘の説明をしたことについて「副業が会社にばれるのが怖かった」という趣旨の説明をした。
長崎知事は8日の記者会見で「今回のケースのように正確な申告がなされない、隠蔽、虚偽報告などの状況は絶対に防がなくてはならない」と強調した。
一方で、感染したことが分かっても、保健所に言いたくない行動履歴がある場合も考えられる。
山梨大医学部の山縣然太朗教授(公衆衛生学)は「感染者は疫学調査に協力すべきだが、嘘をついた人を責めるのではなく、本当のことを言いやすい環境づくりが必要だ」と述べ、感染拡大防止とプライバシー保護の兼ね合いの難しさを指摘する。
また今回のケースでは、セブン-イレブン・ジャパンが「本人が申告しているので、自社の責任で公表する」と連絡したにもかかわらず、保健所が「セブン側の言っている男性の名前の読み仮名が保健所で把握している読み仮名と違う」として、慎重過ぎる対応を取ったことにも疑問が残る。
聴取能力に期待
感染症対策特別チームは保健福祉部の成島春仁次長をトップに24人で構成。感染者情報を一元化し、保健所の調査に同行するなど支援を行う。
メンバーには県警から県庁に出向している職員7人全員が参加している。7人は警察官の身分を残しながら県庁に派遣され、普段は交通安全や廃棄物不法投棄対策などの部署に所属している。
成島次長は「7人は警察官としてチームに参加しているわけではないが、聴取能力や分析能力を生かしてもらいたい」と期待している。