大きな社会問題となっている子どもへの虐待。この数年、目立つのがパートナーの連れ子に対する虐待だ。 度重なる虐待を受けて女児(船戸結愛ちゃん、当時5歳)が亡くなった「目黒女児虐待事件」(2018年3月)。2019年9月には、さいたま市の教職員住宅で小学4年生の男児が、母の再婚相手に殺害される事件も発生した。 この他にも、母の交際相手や実の親ではない同居する男性に虐待を受けたり、殺害されたりする例は少なくない。なぜ連れ子に対する虐待はなくならないのか。子どもの虐待・ネグレクトの防止を目的とするNPO「チャイルドファーストジャパン」の理事長を務める山田不二子医師(内科医)に詳しい話を聞いた。(福田晃広) ●内縁の男性が同居するケースは虐待リスクが高い 山田医師は、2019年1月に起こった野田小4女児虐待事件で野田市児童虐待事件再発防止合同委員会のオブザーバーとして関係者へのヒアリングを行うなど、かねてより虐待防止のために活動してきた。 この数年で報じられた虐待事件では、加害者が「養父」「継父」「実母の交際相手(Mom’s Boyfriend)」となるケースが相次いだため、「血のつながらない男性による虐待は少なくない」と感じる人は多いようで、ネットには「また継父か」「また内縁の夫か」という声があがる。 そこで、山田医師に「養父や交際相手などによる虐待は多いのか?」と尋ねると、次のような説明があった。 平成30年の警察庁の統計によれば、検挙件数1380件のうち、虐待加害者は実父622件(43.8%)、実母352件(24.8%)、養父・継父266件(18.7%)、実母の内縁の男性127件(8.9%)、その他の男性33件(2.3%)、養母・継母9件(0.6%)、その他の女性6件(0.4%)となっており、男性加害者が全体の約3/4を、実親が7割弱を占める。 「目黒女児虐待事件」では両親が逮捕されたが、女児は前の夫との間に生まれた子で、逮捕された父親は養父だった。 検挙件数全体の中で見ると、養父や内縁の男性は加害者全体の約3割弱にすぎず、意外に少ないと思われるかもしれない。しかし、養父・継父や内縁の男性がいる家庭の数は、実父がいる家庭と比べれば圧倒的に少ない。それを踏まえ、山田医師は「確率としては、実の親以上にリスクが高い」と指摘する。 「日本は、母子家庭と比べて父子家庭が圧倒的に少ない。父の交際相手と母の交際相手の虐待リスクの差異について、単純な比較は難しい」(山田医師)と前置きした上で、以下のように語る。
大きな社会問題となっている子どもへの虐待。この数年、目立つのがパートナーの連れ子に対する虐待だ。
度重なる虐待を受けて女児(船戸結愛ちゃん、当時5歳)が亡くなった「目黒女児虐待事件」(2018年3月)。2019年9月には、さいたま市の教職員住宅で小学4年生の男児が、母の再婚相手に殺害される事件も発生した。
この他にも、母の交際相手や実の親ではない同居する男性に虐待を受けたり、殺害されたりする例は少なくない。なぜ連れ子に対する虐待はなくならないのか。子どもの虐待・ネグレクトの防止を目的とするNPO「チャイルドファーストジャパン」の理事長を務める山田不二子医師(内科医)に詳しい話を聞いた。(福田晃広)
山田医師は、2019年1月に起こった野田小4女児虐待事件で野田市児童虐待事件再発防止合同委員会のオブザーバーとして関係者へのヒアリングを行うなど、かねてより虐待防止のために活動してきた。
この数年で報じられた虐待事件では、加害者が「養父」「継父」「実母の交際相手(Mom’s Boyfriend)」となるケースが相次いだため、「血のつながらない男性による虐待は少なくない」と感じる人は多いようで、ネットには「また継父か」「また内縁の夫か」という声があがる。
そこで、山田医師に「養父や交際相手などによる虐待は多いのか?」と尋ねると、次のような説明があった。
平成30年の警察庁の統計によれば、検挙件数1380件のうち、虐待加害者は実父622件(43.8%)、実母352件(24.8%)、養父・継父266件(18.7%)、実母の内縁の男性127件(8.9%)、その他の男性33件(2.3%)、養母・継母9件(0.6%)、その他の女性6件(0.4%)となっており、男性加害者が全体の約3/4を、実親が7割弱を占める。
「目黒女児虐待事件」では両親が逮捕されたが、女児は前の夫との間に生まれた子で、逮捕された父親は養父だった。
検挙件数全体の中で見ると、養父や内縁の男性は加害者全体の約3割弱にすぎず、意外に少ないと思われるかもしれない。しかし、養父・継父や内縁の男性がいる家庭の数は、実父がいる家庭と比べれば圧倒的に少ない。それを踏まえ、山田医師は「確率としては、実の親以上にリスクが高い」と指摘する。
「日本は、母子家庭と比べて父子家庭が圧倒的に少ない。父の交際相手と母の交際相手の虐待リスクの差異について、単純な比較は難しい」(山田医師)と前置きした上で、以下のように語る。