修学旅行や合宿中止で宿泊施設打撃「廃業も」「自粛ムード響く」 新型コロナ

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、修学旅行やスポーツ合宿など教育関連の宿泊が相次いでキャンセルとなり、ホテル・旅館に深刻な影響が出ている。施設側は「廃業の危機」まで危惧するケースもあり、「一刻も早く事態が収束し、元気な子どもたちを受け入れたい」と話す。
奈良県桜井市の談山(たんざん)神社の近くにある老舗観光旅館「多武峰(とうのみね)観光ホテル」(上村晃生支配人)は、修学旅行や研修など学校関係者の利用者が売り上げ全体の半分以上を占める。ところが一斉休校を受けて学校行事も中止となり、3月の売り上げは前年比で3%にまで落ち込む見込みだ。上村支配人は「予約台帳はほぼ白紙。この状態が続くと廃業も考えなければならない」。
毎年3月は小中学校や高校の修学旅行や大学のゼミ旅行など、特に学生の利用者が多い。今年も関東方面の学校からの予約で埋まっていたが、2日から一斉休校が始まると予約のキャンセルが相次ぎ、学校関係の利用がゼロに。一般客の宿泊や宴会のキャンセルも多く、開店休業状態という。
上村支配人は「学校だとキャンセルが数百人単位になるので売り上げにも響く。何十年も前から利用してくれている学校もキャンセルになるなど、東日本大震災や新型インフルエンザの流行のときよりもひどい」。
ホテルではコロナ対策として、宿泊中の児童生徒の体調が悪くなった場合に対応しようと、客室の一部を「保健室」として利用できるように。食事をする宴会場前には消毒液を並べて「正しい手の洗い方」を紹介したパネルも設置したが、客足回復には結びついていないのが現状だ。

スポーツの強豪・天理大学や天理高校を抱える同県天理市では、同大、同高との練習試合や合同練習をするためのスポーツ合宿のキャンセルが相次いでいる。「ビジネス旅館やまべ」でも春休み中は全国の高校からのスポーツ合宿で予約がいっぱいだったが、2月下旬ごろからキャンセルが相次ぎ、3月分はほぼ全滅状態。酒谷浩行代表(52)は「キャンセルが続くと経営が成り立たなくなる」と肩を落とす。
4月以降はまだキャンセルになっていない学校もあるが、先日も「いつからキャンセル料がかかるのか」と関係者から問い合わせがあったという。旅館側は今回の非常事態を考慮し、なるべくキャンセル料を徴収しないようにしている。「子どもたちのことを思うと(徴収するのは)心苦しい」と話すが、夕食や朝食の食材が無駄になるなどの経費がかかるため「このまま頑張れるかはわからない」という。
酒谷代表は「自粛ムードの中で合宿をしたくてもできない場合もあるのでは。実施の判断基準を作るなどして、安全な場合は通常通りに部活動に取り組めるような対策を考えてほしい」と訴える。【広瀬晃子】