広島県廿日市市で2004年10月、高校2年の北口聡美さん(当時17歳)の自宅に侵入し、刺殺したとして殺人などの罪に問われた山口県宇部市、無職、鹿嶋学被告(36)の裁判員裁判で、広島地裁は18日、求刑通り無期懲役を言い渡した。弁護側は計画的ではなかったとして刑の減軽を求めていたが、杉本正則裁判長は「動機は身勝手極まりなく、有期懲役が相当と言えるほど軽い事案ではない」と述べた。
判決によると、鹿嶋被告は04年10月5日、帰宅中の北口さんを見かけて後をつけ、自宅離れに侵入。北口さんに折りたたみナイフを突きつけ「動くな」などと脅したが、逃げようとしたため腹や胸などを多数回突き刺して殺害し、祖母の腹や背中も刺して1カ月の重傷を負わせた。
杉本裁判長は、動機について「仕事で不満を抱える中、寝坊したのを会社から責められるのが嫌でバイクに乗って寮を飛び出し、自暴自棄になって女性を襲おうと決意した」と指摘。「目的を果たせなかったことや自己の境遇に対する怒りから八つ当たりで何度も刺しており、相当に悪質」と非難した。鹿嶋被告は逮捕まで約13年半逃走しており、「再び襲撃を受けるかもしれないとの恐怖を遺族に与えたことも見過ごせない」と述べた。
被害者参加制度を利用して10日の公判で意見陳述した北口さんの父忠さん(62)は判決後、涙をにじませながら「娘に全く非はないことが証明されたが、極刑を望んでいただけに、娘には『裁判に負けたようだ』と心の中で報告した」と話した。
この事件では、山口県警が別の暴行事件で採取した鹿嶋被告のDNA型や指紋が現場に残されたものと一致し、広島県警が18年4月に逮捕した。【中島昭浩】