かぐと追突事故が減るという「お香オイル」の実力

香りで集中し安全運転を心がけてもらおうと、高松市の仏壇店「岩佐佛喜堂」が、松の香りをベースにしたオイルを製品化した。大学との共同研究では、松の香りをかぎながら運転すると、かがなかったときに比べて事故を減らす効果が確認できたという。
1滴足すだけで
高松市の丸亀町商店街に本店を構える同社は、明治5(1872)年創業。仏壇や仏具の製作、販売を手掛けるほか、近年は線香やお香の開発にも注力している。岩佐武彦社長(63)は4代目にあたる。
店に入ってすぐのひときわ目立つ場所に、新商品の「KOKO zero(ココ ゼロ)」のオイルと、香りを拡散させるディフューザーが並んでいた。いずれも自動車内での使用を念頭に開発された。
使い方は簡単。ディフューザーに水とオイル1滴を入れ、電源ケーブルをUSBに接続。しばらくするとオイルを含むミストが吹き出し、松林にいるような爽快な香りが広がる。ディフューザーは、自動でオンとオフが切り替わる仕組み。岩佐社長は「香りに慣れてしまわないよう、一定の間隔で切り替わる設定にしている」と説明する。
適度な集中とリラックス
商品は、同社と香川大創造工学部の鈴木桂輔教授との共同研究をもとに開発された。
ドライビングシミュレーターを使った実験では、参加者が松の香りをかぎながら運転すると、適度な集中とリラックスが促されてブレーキへの反応時間が短くなり、香りをかがなかったときと比べて4割ほど追突事故を減らす効果が確認できたという。
結果を受け、松の木から抽出したパインオイルにお香の成分を加え、多くの人が好む香りに調合した。
香川県の昨年の交通事故死者数は47人。人口10万人当たりの死者数は4・89人で、都道府県別で3番目に多い。岩佐社長によると、ネーミングには「事故ゼロを目指したい」との願いが込められている。
2月には都内で開かれた展示会に出展。カー用品店などが興味を示していたという。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響でパッケージが入手しにくくなっていたが、めどがつき、3月下旬から本格発売する。
「独自の発想で」
同社は、ユニークな線香やお香の開発にも力を入れている。灰が落ちない線香や、煙が下に流れる線香を商品化したほか、各地の寺とコラボレーションした塗るお香「塗香(ずこう)」も発売。身に付けると、寺にゆかりのある花などの香りをまとうことができる。専門店とともに開発したコーヒーの香りの線香も販売している。
線香の分野では後発メーカーとあって、他社との差別化を重視しているといい、岩佐社長は「香りを切り口に、独自の発想や感性を生かした商品を送り出したい」と話している。

「KOKO zero」オイル(2グラム入り)は1700円、ディフューザーは6千円(いずれも税別)。同社のサイト(https://ryusenko.com/)で販売。問い合わせは同社(087・851・1033)。