全国的な注目を集めてきた「ネット・ゲーム依存症対策条例」が香川県議会で可決、成立した。だが、「ゲームは1日60分」などと家庭内で守るルールの目安を規定したことや、保護者の責務を明記したことに対し、懸念の声が絶えない。議論は尽くされたのか。
県議会は2019年9月に条例検討委員会を設置し、計7回の会合を開いた。国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長ら専門家から意見を聞く場も設けており、検討委の委員長を務めた自民党県政会の大山一郎県議は「実際に治療に当たるなど、依存の問題を肌で感じている人から助言を受けた」と話す。
ネットやゲームの利用時間を規定した第18条は「科学的根拠がない」などと批判のやり玉に挙がっているが、大山県議は樋口氏らの意見を参考にしたと説明。県教委の調査で1日1時間以上スマートフォンなどを利用している児童生徒の成績が落ちている結果が出ていることも判断材料にしたという。
県議会では検討委設置に先立つ19年3月に超党派の「ネット・ゲーム依存症対策議員連盟」を発足させ、勉強会を開いてきた経緯がある。そのため、条例制定を主導した自民党県政会の県議らは「1年かけて準備した」と主張。「議論は尽くした」との立場だ。
一方、検討委の委員だった共産党議員団の秋山時貞県議は「懸念は払拭(ふっしょく)されていない」との認識を示す。ネットやスマホの使い方については県教委が独自に取り組みを進めてきたことに触れ、「あえて具体的な時間を条例に書き込む必要があるのか」と疑問を投げかける。
また、保護者の責務を定めた第6条についても「家庭に自己責任を押しつけている」と指摘。「(子供のネット・ゲーム依存について)支援の手を必要とする人が逆に、支援から遠のいてしまうのではないか」と危惧している。【金志尚】