東京五輪・パラリンピックはどうなるのか。国際オリンピック委員会(IOC)は17日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて臨時理事会を開き、「予定通り開催する」という声明を発表した。 私はかねて「夏の五輪開催は難しい」とみて、このコラムでもそう書いてきた。見立ては変わらない。五輪開催の決定権を持つのはIOCだが、それは大会運営の仕組みに過ぎず、真の決定者は「選手と観客」であるからだ。 いくらIOCが「開きたい」と言ったところで、選手や観客が「東京には行かない。行けない。行きたくない」と言い出したら、開けないのは自明である。いま、そんな状態になりつつある。 日本が夏までに新型コロナウイルスの制圧に成功したとしても、遅れて感染が広がった米国や欧州は、危機状態が続く。南米やアフリカ諸国でも感染が広がるだろう。 となれば、選手がOKでも、外国人観光客が数万人単位で夏に来日して、五輪を観戦するのは考えにくい。一部では、無観客で開く可能性が取り沙汰されてきた。 そこで注目されるのは、主要7カ国(G7)首脳とのテレビ会議(日本時間16日夜)後、安倍晋三首相が「五輪を完全な形で実現することにG7の支持を得た」と語った発言である。これは何を意味するか。 単に「予定通り」ではなく、あえて「完全な形で」と言ったところがミソだ。安倍首相は「中止や無観客は受け入れない」と言ったのである。裏を返せば、日本に決定権はないが、主要国を味方につけて「今夏か延期しかない」とIOCを牽制(けんせい)した形だ。 中止はあり得るのか。 G7は「実現」を支持したのだから、中止したら責任はIOCが背負う形になる。巨額の放送権料を含めて、途方もないビジネス上の大問題になるのは間違いない。IOCがそんなリスクを避けたいのは当然だろう。 従って、安倍首相が遠回しに求めたのは「延期」とみるのが妥当だ。菅義偉官房長官は記者会見で「完全な形というのは、今まで通り(の今夏開催)という意味」と説明した。日本から表立って延期を言い出すわけにはいかないので、そのようにも説明できる言い回しだった。さすがは百戦錬磨の政治家である。 1年か2年の延期になったとしても、中止になるより、はるかにマシだ。ドナルド・トランプ米大統領も延期の可能性に言及したくらいだから、「延期で政権が批判を浴びることはない」という読みもあるに違いない。IOCは「いま決断する必要はない」とも言っていた。
東京五輪・パラリンピックはどうなるのか。国際オリンピック委員会(IOC)は17日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて臨時理事会を開き、「予定通り開催する」という声明を発表した。
私はかねて「夏の五輪開催は難しい」とみて、このコラムでもそう書いてきた。見立ては変わらない。五輪開催の決定権を持つのはIOCだが、それは大会運営の仕組みに過ぎず、真の決定者は「選手と観客」であるからだ。
いくらIOCが「開きたい」と言ったところで、選手や観客が「東京には行かない。行けない。行きたくない」と言い出したら、開けないのは自明である。いま、そんな状態になりつつある。
日本が夏までに新型コロナウイルスの制圧に成功したとしても、遅れて感染が広がった米国や欧州は、危機状態が続く。南米やアフリカ諸国でも感染が広がるだろう。
となれば、選手がOKでも、外国人観光客が数万人単位で夏に来日して、五輪を観戦するのは考えにくい。一部では、無観客で開く可能性が取り沙汰されてきた。
そこで注目されるのは、主要7カ国(G7)首脳とのテレビ会議(日本時間16日夜)後、安倍晋三首相が「五輪を完全な形で実現することにG7の支持を得た」と語った発言である。これは何を意味するか。
単に「予定通り」ではなく、あえて「完全な形で」と言ったところがミソだ。安倍首相は「中止や無観客は受け入れない」と言ったのである。裏を返せば、日本に決定権はないが、主要国を味方につけて「今夏か延期しかない」とIOCを牽制(けんせい)した形だ。
中止はあり得るのか。
G7は「実現」を支持したのだから、中止したら責任はIOCが背負う形になる。巨額の放送権料を含めて、途方もないビジネス上の大問題になるのは間違いない。IOCがそんなリスクを避けたいのは当然だろう。
従って、安倍首相が遠回しに求めたのは「延期」とみるのが妥当だ。菅義偉官房長官は記者会見で「完全な形というのは、今まで通り(の今夏開催)という意味」と説明した。日本から表立って延期を言い出すわけにはいかないので、そのようにも説明できる言い回しだった。さすがは百戦錬磨の政治家である。
1年か2年の延期になったとしても、中止になるより、はるかにマシだ。ドナルド・トランプ米大統領も延期の可能性に言及したくらいだから、「延期で政権が批判を浴びることはない」という読みもあるに違いない。IOCは「いま決断する必要はない」とも言っていた。