国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、名古屋市の河村たかし市長は27日、負担金の未払い分約3300万円について、支払わないことを決めたと発表した。
市の第三者検証委員会(座長、山本庸幸・元最高裁判事)がこの日、「(不払いは)やむを得ない」とする報告書を採択したため、「検証委の意見を尊重する。市民の税金を適正に扱うのは市長の責任だ」と述べた。愛知県に支払い済みの約1億3700万円については返還を求めない。
検証委は、芸術祭の企画展「表現の不自由展・その後」の開催前に県から市への情報提供が不十分だった上、中止や再開は芸術祭実行委員会長の大村秀章知事の独断で決定されたと指摘。会長代行の河村市長は意見を述べる機会を奪われたとして「負担金の不交付という形で市が抗議の意思を表すのは必ずしも不適当とは言えない」とする報告書をまとめた。委員5人のうち3人が賛成、2人は「(開催や中止の)手続きに問題はあったが負担金は支払うべきだ」として反対し、賛成多数で採決した。
関係者によると、報告書を受け、市は未払い分の一部を不払いとする案も検討したが、河村市長の意向で全額不払いとなった。
大村秀章知事は緊急記者会見し、報告書を「事実関係を検証していない」と批判、「法にのっとって交付を求める」と述べ、訴訟も視野に準備に入る方針を示した。
不自由展は、従軍慰安婦を象徴する少女像や昭和天皇をモチーフとした映像作品が物議を醸し、一時中止に追い込まれた。河村市長は「芸術祭は県の独断、独裁の状態だった」と批判し、今年度負担金のうち約3300万円の支払いを保留し、検証委の意見を求めていた。【野村阿悠子、黒尾透】