「オレ、陽性だけど大丈夫?」
航空機が滑走路に向かっている最中、男がこうつぶやいたものだから、客室乗務員は息をのんだ。
成田空港から離陸直前の機内で新型コロナウイルスに感染しているような発言をし、出発を遅延させたとして愛媛県の自称無職、児嶋典博容疑者(69)が27日、偽計業務妨害で千葉県警成田国際空港署に逮捕された。
26日午後4時6分、成田発松山行きのジェットスター機がスポットアウトし、滑走路に向かった。出発前の点検のため、客室乗務員が非常扉のある中央付近の客席に近づくと、児嶋容疑者が突然、「オレ、陽性だけど、大丈夫?」と声を掛けてきた。驚いた客室乗務員は「陽性ってどういうことですか?」と聞き返すと、児嶋容疑者は返事もせず、押し黙ったまま。客室内に緊張が走った。困惑した客室乗務員は機長に相談。機内アナウンスでその旨を伝え、ジェットスター機は駐機場に引き返した。機内には114人の乗客乗員がいた。
午後4時16分、地上職員から警察に「松山行きの機内で乗客がコロナと言っているので、出発できない。その人は<飛行機を降りたくない>と言っていて非常に困っている」と通報があり、駆け付けた署員がひとまず児嶋容疑者を機内から降ろし、飛行機は1時間15分遅れの午後5時21分、松山に向けて離陸した。
「飛行機から降ろされた児嶋は、搭乗口付近の待合室から動こうとしなかったため、その場で事情を聴いた。<そんなこと言っていない>の一点張りで、<コロナではないので病院には行かない>と話すだけ。令状を取り、逮捕したのは一夜明けた朝の5時37分でした」(捜査事情通)
首都圏では外出自粛要請が出され、職員や空港関係者が対応に追われ、テンヤワンヤだったというのに、1人のふざけた発言でどれだけの人が時間を奪われ、手を煩わされたことか。
児嶋容疑者はかつて陸上自衛隊に所属し、10年ほど前、「えひめ海外協力大使」の委嘱を受け、シニア海外国際ボランティアとしてモロッコに2年間派遣され、電子工学を指導していた。
■近所では「変人」と評判
近隣住民がこう言う。
「言うたら、変わっとる人じゃ。変人いうかねえ。奥さんを松山市内に残し、セカンドハウスを建てて引っ越してきた。とにかくエラソーにものを言うんです。挨拶しても知らん顔やし、付き合いもない。近くの温泉施設にいつも閉館時間ギリギリにやって来るものやから、<掃除ができん>いうて皆、困ってる。自宅にお茶室をこしらえて、着物を着て茶巾の袋を提げ、三味線をジャンジャン弾いていた。近所の人は誰ももの言わん」
飛行機を止めさせ、空港の待合所で13時間以上居座るとは、ホント、困ったジイさんだ。