長崎市の観光名所40施設閉鎖 軍艦島、グラバー園など 10日から

長崎市は6日、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開き、感染拡大を防ぐため長崎原爆資料館や世界遺産の「軍艦島」、グラバー園など観光施設を含む計約40施設を10日から一斉閉鎖することを決めた。【松村真友、松尾沙織】
対象は市が設置した施設で、閉鎖は28日までの予定。市民の利用が多い市立図書館などは開館を継続する。28日以降の対応は感染拡大の状況によって決めるとしている。
市はこれまでも市主催イベントを延期・中止するなどしていたが、感染リスクを最小限にすることで市民生活を守るため、県外の観光客が多く訪れる観光施設などを一斉に閉鎖することにした。
また市教委は、小中学校の遠足や体育祭などを2学期以降に延期するよう各校に通知した。市職員は今後、市内の飲食店で予約と代金の先払いをし、感染拡大が収まった後に会食する「さきめし」にも取り組む予定。
田上富久市長は「市内の人の旅行もできるだけ避けてほしい。暮らしを守るため、4月中は活発な移動を控えて」と呼びかけた。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響は県内の観光に深刻な影を落としており、一斉閉鎖が拍車をかけそうだ。
長崎市観光政策課によると、2019年は年間約330万人が市内の観光施設を訪れたが、今年2月の観光客数は前年比2割減の17万6000人、3月は同6割減の11万人に落ち込んだ。
10日に閉鎖されることが決まったグラバー園でも観光客の姿はまばら。園の周辺では客足が通常の1割程度の土産店もあるという。ある女性店員は「2月ごろからクルーズ船で来る海外からの観光客や、関東からの家族連れが激減している」と嘆いた。