緊急事態宣言から一夜、ビジネス街や商業地閑散…「業務によっては出勤なので感染が怖い」

新型コロナウイルスの感染者急増に伴い、緊急事態宣言が発令されたことを受け、対象となった東京都などでは8日、法令に基づく不要不急の外出自粛が始まった。デパートなどの休業も相次ぎ、首都圏のビジネス街や商業地では通勤客や買い物客の姿も少なく、閑散としていた。
改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に政府が発令した緊急事態宣言は7日深夜、官報に公示されて正式に発効した。これを受け、東京都などでは8日、同法に基づく不要不急の外出自粛要請などの措置が始まった。期間は5月6日までの1か月間。
JR東日本や首都圏の主な私鉄各社は、始発から通常ダイヤで運行したが、ラッシュ時でも車内は空席が目立った。東京駅を利用していた東京都三鷹市、会社員男性(58)は「電車は昨日よりも乗客が少なく、普段の5分の1くらいの印象だった」と話した。
都内ではすでにテレワークを導入している会社も多く、千葉県のJR市川駅から勤務先の都内の情報通信会社に向かった50歳代の男性は「職場の人数は既に3分の1に減っている。電車も最近はガラガラで、緊急事態宣言が出たからといって変わらないのではないか」と話した。JR横浜駅では、取引先に向かうという東京都江戸川区のシステムエンジニアの男性(42)が「今週からテレワークが始まったが、業務によっては出勤しなければならない。感染が怖い」と不安そうな表情で語った。
国内最大級のバスターミナル「バスタ新宿」(東京都渋谷区)の待合室では朝、約200席のうち利用客が座っているのは10席程度だった。大学の授業開始が延期になり、山梨県の実家に帰るという横浜市の女子大学生(19)は「緊急事態宣言が出されて怖さを実感した。実家でも家から出ないつもり」と語った。
東京・銀座や渋谷では商業施設が休業した。渋谷では「SHIBUYA109」や「渋谷パルコ」などが休館し、飲食店やアパレルの店舗なども臨時休業の貼り紙が目立った。渋谷駅近くのそば屋の従業員男性(68)は「人通りは普段に比べて3分の1ぐらい。新型コロナウイルスの騒ぎが出てから客も数えるほどに減った」とこぼした。
大阪や福岡でも人出が減った。大阪・ミナミの道頓堀では、名物人形「くいだおれ太郎」があるビルの店舗のシャッターに「臨時休業」のお知らせが貼られていた。大阪・黒門市場の酒屋店主(55)は「宣言が発令された7日だけでも20件以上の取引先から配達を断られた。影響の出る期間が短くなれば」と願った。福岡市のJR博多駅でも、通常よりもまばらな通勤風景が見られた。