東京と直結のつくば 茨城が緊急事態宣言の対象外に「違和感ある」

新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令され、水戸市は7日、対象の7都府県への不要不急の移動自粛を市民に求めた。茨城県は宣言の対象外だが、隣の千葉県や東京都には発令されたため、県民の緊張感は高まっている。
千葉や東京とつくばエクスプレス(TX)でつながるつくば市。つくば駅で買い物帰りだった主婦(71)は緊急事態宣言を歓迎した。「TXでつながる千葉や東京が対象なので、市民も外出自粛の意識が高まり、収束が早まるのではないか」と期待した。
千葉県での感染者は300人近くに上る。利根川を挟んで神栖市と接する千葉県東庄町の障害者施設「北総育成園」では集団感染が確認され、神栖市居住者らへの感染が相次いで明らかになった。
5歳の長女を連れたつくば市の30代の会社員女性は「東京からのアクセスや実際の人の移動を考えると、茨城と千葉で大きな違いがあるとは思えない。千葉が対象なのに、茨城が対象外なのは違和感がある」と訴えた。
女性は育休期間中だが、大型連休明けには仕事に復帰する予定で、都内へ通勤することになる。女性は「電車で通うので感染のリスクがある。小さな子どもがいるので、ウイルスを持ち帰らないように気をつけたい」と心配そうに話した。
県は緊急事態宣言の対象外のため、店舗が直ちに営業自粛を求められることはなさそうだ。ただ、駅近くの飲食店従業員(43)は「宣言で駅の利用客が減るので、自主的な休業を考えざるを得ない」と肩を落とした。
つくば市の映画館「MOVIXつくば」を運営する松竹グループ(東京)の担当者は「宣言の対象外の県についても、営業の縮小を含めて検討している」と話した。
「つくば牡丹園」では、開園期間(11日~5月24日)が首都圏の外出自粛期間と重なる。園内のカフェの座席の間隔を空け、従業員の検温などの対策を講じるが、関浩一園長(59)は「今年の来客は昨年の半分以下かもしれない」と予想する。
JR常磐線で都心とつながる土浦市。同線で都内に通勤する川﨑愛さん(32)は2月下旬からテレワーク(在宅勤務)や時差通勤をしており、今後も続けるという。「出ると言われていたので驚きはない。不要不急の外出は控えたい」と話した。
牛久市の自営業男性(60)は「感染者が増えれば、茨城も対象地域に追加されると思う。政府には、自粛に伴う減収に配慮してもらいたい」と訴えた。【小林杏花、庭木茂視、宮田哲】