浜松市が繁華街での客引き行為禁止条例を今月1日に全面施行してから10日になるが、客引きは依然として活発だ。新型コロナウイルスの影響で飲食店の客が激減しており、勧誘しないと生き残れないという背景がある。少ない客の奪いあいの様相を呈しており、市の啓発活動もほとんど効果がなさそうだ。
7都府県に緊急事態宣言が出て2日後の9日夜、JR浜松駅に近い繁華街「有楽街」には、前掛けを着けるなどした客引きの男女が計20人ほどたむろしていた。この時期としては気温が高くビール日和だったが、通行人はまばらだ。この日も「キャバクラどうですか」「居酒屋をお探しですか」などと、勧誘は活発だった。
7日に買い物帰りに通った女性は、約100メートル間で女性の客引き2人に相次いで居酒屋に勧誘された。無視すると客引きは足を止めたが、「怖い。安心して街を歩けるようになってほしい」と困惑していた。
市の条例は有楽街など中区の繁華街が対象だ。昨年11月に施行され、4月1日から5万円以下の過料など罰則適用が始まった。蛍光色のジャンパーを着た市職員が定期的に啓発活動を行っているが、客引きは堂々と活動している。
ある居酒屋の男性店員は「店にいても客が来ず、暇なので通りに出てきた。罰則は知っているが、声をかけないと商売にならない。怖い雰囲気を作らなければ指導されないでしょう」と素知らぬ顔で話した。
自ら通りに出て客待ちをしていた居酒屋の男性店長は「1日15万円あった売り上げが今や3万円という日もある。知り合いが通らないかと待っているだけ」と強調した。一方、店の敷地内で「ビール200円」と書いたボードを持っていた居酒屋の男性店員は「特定の人に声を掛けない。ルールは守っている」と話した。
広報活動を行う市職員は「客引き行為等同意書」を携行し、違反行為を見つけたら違反者に氏名や住所を書かせることにしているが、9日現在、書かせた同意書は一件もない。担当者は「客がおらず手持ちぶさたで、通りで遊んでいるだけに見える。違反と断定するのは難しい」と話した。