新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国各地で院内感染が続発している。東京都内では12日、中野江古田病院(中野区)で87人の感染が確認された。13日には近隣にある総合東京病院で計5人の感染が発表された。専門家は院内感染の急増は医療崩壊につながりかねず、検査と隔離を急ぐべきだと警鐘を鳴らした。また、都は13日、この5人を含め、新たに91人の感染を確認したと明らかにした。都内の累計感染者は2158人となった。
「病院がクラスター(感染者集団)化している。命を懸けて仕事をしている医療従事者をどのように守るかも課題なので、環境を改善していきたい。一刻の猶予もない」。東京都の小池百合子知事(67)はこの日、相次ぐ院内感染に、危機感をあらわにした。
中野江古田病院での感染は今月上旬に確認された5人と合わせ計92人に上った。同病院では今月5日から外来診療や入院患者の受け入れなどを中止。関係者の検査を広範に実施し、多数の感染が判明した。永寿総合病院(台東区)では167人が感染、入院中だった患者20人が死亡しており、それに次ぐ規模となった。都は院内感染が発生した可能性が極めて高いとして調査を進める方針。同病院は取材に「何も答えられない」と回答した。
この地域には、総合東京病院、武蔵野療園病院があり、高齢者施設も併設される。総合東京病院は13日、看護師4人、入院患者1人の計5人の感染が確認されたと発表。外来診療や救急患者の受け入れなどは安全が確認されるまで中止する、とした。武蔵野療園病院は3月から面会の制限などを行っており「万全の対策を取っている」とした。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は「政府は医療従事者に供給が不十分な防護服などの支援、患者の検査と隔離ができる体制を早急に構築すべきだ」と指摘。「複数の病院で医療従事者が感染してしまい、病院が機能しなくなる『医療崩壊』が始まっている。院内感染で死亡率が2割を超えたケースも出ている。このままでは危機的状況になる。感染経路が不明の患者も急増しており、クラスター潰しをする局面は終わった。院内感染をこれ以上、広げないために政治の責任でこれまでの方針を変える必要がある」と警鐘を鳴らした。