新型コロナウイルス感染拡大を受けて緊急事態宣言が全国に出され、岩手県内でも飲食店の夜間営業に自粛の動きが広がっているが、昼に食べられる岩手名物の「わんこそば」も、提供の中止が相次いでいる。おわんに「どんどん」「じゃんじゃん」と合いの手を入れながらそばを投入する「給仕さん」との掛け合いが楽しみの一つだが、そうした距離の近さがネックとなるためだ。
老舗「営業できぬ事態避けたい」
盛岡市八幡町の老舗そば店「初駒」本店では、緊急事態宣言期間中の5月6日ごろまで提供を自粛する。わんこそばは食べ終えるのに短くて約30分、長くて約1時間半かかり、その間ずっと、従業員と客が、近い距離で接したり、話し掛けたりすることになる。社長の今野敏博さん(45)は「それだけ感染のリスクが高まる。感染者を出して店の営業自体ができなくなる事態は避けたかった」と話す。5月の大型連休は例年、県内外から約2000人がわんこそばを食べに訪れるが、予約は軒並みキャンセルに。丼などテークアウトメニューを知らせるチラシを作って店内に張り出し、活路を見いだそうとしている。
宮沢賢治も訪れたという花巻市の「やぶ屋」も、わんこそばの提供を取りやめた。盛岡駅ビル内のフェザン店を含め、やはり5月6日まで中止する。この時期のわんこそばの売り上げは、店全体の売り上げの約7割を占めていたという。すしなど出前メニューの種類を増やすなどして、対応している。本店専務の堀合浩之さん(36)は「修学旅行生も多いこの時期の予約がなくなるのは、影響が大きい。今後については、感染者数や緊急事態宣言がどう変化していくのか見極めて、判断したい」としている。【日向米華】