安倍晋三政権が、新型コロナウイルスをめぐる対応で混乱した。国民生活を守る経済対策では、閣議決定した「減収世帯への30万円給付」が撤回され、「国民1人当たり一律10万円給付」になった。一連の過程で「ポスト安倍」候補の誰が評価を上げ、逆に下げたのか。政治評論家の小林吉弥氏が論評した。
「自民党も当初から訴えてきた10万円一律給付を前倒しで実施することを総理が決断した」
岸田文雄政調会長は急転直下で、政府・与党の国民給付の方針が変わった16日、自らのツイッターでこう発信した。
岸田氏は「減収世帯への30万円支給」で党内の意見集約に奔走し、存在感を示した。だが、お蔵入りになり、ツイッターには《うそ言わないで》などと批判が殺到した。
小林氏は「岸田氏は心もとない。『この国難で、自民党はカネは出すぞ!』と、大胆な政策を発信すべき立場なのに、男を下げた。風当たりも強くなるだろう。ただ、党内派閥の力学を考えれば、最有力候補に変わりはない」と分析する。
菅義偉官房長官は、側近の河井克行前法相夫妻をめぐる選挙違反事件もあってか、最近、存在感が薄い。
小林氏は「今回の給付策の意思決定では外されていたようだ。一連の事件が逆風となった。『ポスト安倍』としてはどうか…」と指摘する。
石破茂元幹事長は17日、自らのブログに「ここ数日の動きを見ると、混迷・混乱の度が高まっているように思えて心配だ」と、まるで評論家のように書き込んだ。
ただ、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の直近の世論調査(11~12日)では、「次の首相にふさわしい政治家は?」の質問で1位になった。
小林氏は「石破氏はいま、下手に前に出ないのが得策と考えているようだ。新型コロナウイルスの感染が拡大する現状への不満が、相対的に評価を上げている可能性がある」と語る。
「ポスト安倍」では、河野太郎防衛相らの名前も挙がるが、小林氏は「唐突感がある」と語るにとどめた。
安倍首相の党総裁としての任期が来年9月に迫るなか、誰が「ポスト安倍」にふさわしいのか。
小林氏は「『ポスト安倍』の争点は、コロナ禍からの日本をどう立て直すかだ。誰がやるにも、未曽有の重責を背負っての船出で、相当の腕力がいる。簡単ではない」と語っている。