昨年末に初期の乳がんを患った女優の岡江久美子さんが23日、新型コロナウイルス感染による肺炎で死去し、がんと感染症の重症化の関係に注目が集まっている。がん患者は、抗がん剤の使用によって重症化のリスクが高いとも指摘されるが、専門家は「それぞれの症状や治療内容によって異なる。感染予防を徹底し、不安な場合には主治医と相談してほしい」と、冷静な対応を呼びかける。
所属事務所によると、岡江さんは昨年末に手術をし、今年1月末から2月末まで放射線治療を受けていたという。2年前に乳がんの手術を受け、その後放射線治療を受けた東京都の女性会社員(59)は「岡江さんと似た立場だったので、涙が出るほどショックだった。患者仲間の間では、治療に新型コロナ感染拡大が重なり、精神的に不安定な状態が続いている人が多い。悩みを打ち明けられるような相談窓口がほしい」と話した。
日本医科大武蔵小杉病院の勝俣範之教授(腫瘍内科)によると、がん患者で抗がん剤投与など化学療法を行っている場合は、感染や重症化のリスクが高い傾向にある。体内に侵入してくるウイルスなどの病原体から体を守る白血球が減少し、免疫力が低下するためだが、感染すると必ず重症化するというわけではないという。一方、手術と放射線治療については「現段階で重症化を招くという科学的根拠はない」と指摘する。
基礎疾患、注意呼びかけ
世界保健機関(WHO)は、がん患者以外にも注意喚起する。WHOが中国の専門家チームと今年2月にまとめた報告書によると、中国で新型コロナに感染して死亡した2114人を対象に分析すると、心血管疾患を持っていた人の死亡率は13・2%で、糖尿病(9・2%)、高血圧(8・4%)といった基礎疾患を持っていた人も高かった。
国内の関連学会でも、日本糖尿病学会は「当初の症状が軽微であっても、肺炎への進行が起こる可能性がある」などとして注意を呼びかける。他にも、臓器移植を受けた場合には免疫抑制剤を使用するため、日本移植学会は「感染リスクが極めて高い」と強調する。
勝俣教授は「基礎疾患があり重症化リスクの高い人たちにウイルスを感染させないためにも、一人一人が外出を控えてほしい」と訴える。【岩崎歩、渡辺諒】