女性警官、緊迫下の交渉6時間…姉妹励まし容疑者説得

福岡市南区のうなぎ店で21日、元従業員の男(35)(福岡市南区)が店主の娘の6歳と3歳の姉妹2人を人質にとって立てこもった事件で、姉妹が保護されるまでの約6時間の緊迫した状況が、福岡県警への取材で明らかになった。
21日午前8時半頃、4階建ての店舗兼住宅の3階の居住部分に入った男は興奮気味だった。交渉役を担ったのは「ネゴシエーター」と呼ばれる専門のベテラン女性捜査員で、県警捜査1課に所属し、特別な訓練を受けてきた。
3階のドアが開いており、奥の部屋でソファに腰掛ける男の近くには姉がいて、自由に動き回っている妹の姿も見えた。男の手元には包丁があった。女性捜査員が雑談を挟みながら少しずつ話しかけると、徐々に落ち着きを取り戻した。傍らでは、突入に向けた部隊が息を潜めていた。
男は昨夏頃から同店で働き始めた元従業員で、姉妹とは顔見知り。姉妹のための水や弁当を求めるなど気遣いも見せていた。女性捜査員は姉妹の様子も観察し、2人にも声をかけ続けた。姉の指のけがについては「大丈夫?」と語りかけた。そんな中、男が「姉はもう返す」としたが、姉は「妹が残っているから出らん」などと言って拒んだ。
男の要求は一貫していた。「店主に会わせろ。話がしたい」。店主と会わせることはできないが、電話はどうか――。電話させるかどうかは内部で異論もあった。最後は「振り上げた拳を下ろすきっかけになれば」と電話をさせる判断をした。午後2時過ぎ、店主が男に電話をかけた。男は約10分間、これまでの不満を語った。話し終えると自ら包丁を置いて部屋を出てきた。
県警は午後2時28分、男を逮捕。姉妹は保護された。それまで気丈だった姉が女性捜査員にしがみついて泣いた。

逮捕監禁致傷容疑などで送検された男は「店主に不満があった」などと容疑を認めているという。