大分県別府市の長野恭紘市長は28日の定例会見で、市内に16ある市営温泉施設について、市外客の利用自粛を求めた。同日中に全市営温泉の入り口に「利用自粛のお願い」と記された告知を張り出した。
市温泉課によると、新型コロナウイルスの感染拡大後、市営温泉の入浴客数は減っている。しかし入浴に来た市民からは「『県境を越えて移動を自粛中なのに観光客が入浴していた』などの苦情が出ている」という。
市周辺のほとんどの観光施設は休業中だが、温泉地独特の伝統から自宅に風呂のない家庭が多く、市営温泉は休業できない。同課は「このため地元住民は、県外ナンバーの車や日ごろ見慣れない顔の入浴に敏感になっているのではないか」とみている。
会見で長野市長は「当分の間、自粛をお願いする。今来られてもお互い気まずいだけで、十分なおもてなしができません」と話した。【大島透】