新型コロナウイルスの感染拡大に便乗した詐欺について、全国の警察が4月27日現在で未遂を含め13都道府県で32件、計約3117万円の被害を認知していることが警察庁のまとめで明らかになった。1人一律10万円の「特別定額給付金」やマスク販売を口実にした被害が目立つ。警察は特殊詐欺事件などとして5件で容疑者を逮捕し、2件を書類送検した。
「コロナ」という言葉や、マスクや消毒液の販売名目といった文言が使われた事例を集計した。被害は3月上旬に出始めていた。給付金などを巡っては「口座に振り込むので通帳とキャッシュカードを用意して」と電話し、高齢者らの自宅を訪ねてカードを詐取したり盗み取ったりする事例が8件起きていた。最大で約120万円が引き出されたケースもあった。
マスクの販売では「販売をうたうインターネットサイトで代金数千~数万円を振り込んだが商品が届かない」といった報告も目立つ。事業者向けの緊急融資の保証金名目で約43万円をだまし取られるケースもあった。
一方、今回の集計には含まれていないが、給付に乗じて携帯電話事業者をかたってメールを送り、口座情報などの入力を求める偽サイトに誘導する手口も確認されている。政府はマイナンバーカードを持つ人はオンラインでも申請を受け付ける方針のため、事業を担当する総務省は「偽サイトに誘導される可能性があるので、注意してほしい」と呼びかけている。【町田徳丈】