コロナで「離婚成立が遠のいた…」 調停でのテレビや電話会議、利用はなぜ進まない?

緊急事態宣言が発令されたことを受け、全国の裁判所で裁判期日の取り消しや延期が相次いでいる。 ネット上には、離婚調停中(予定)の当事者から「離婚の成立が遠のいた…」「頭がどうにかなりそう」「婚姻費用を支払ってもらえない。キツイ」などの声も上がる。中には「安全面からもリモートで調停ができればいいのに」「調停くらいテレワークできないのかな」という意見もみられるようになった。 一般のビジネスでも、Zoomなどを利用したオンライン、ビデオ会議が積極的に使われるようになっており、裁判所にも導入を求める声は強まっている。離婚調停において、「テレビ会議」「電話会議」の利用は認められないのだろうか。 ●「テレビ会議」「電話会議」を利用した調停が実施されることも 実は、「テレビ会議」や「電話会議」を使うことは法律でも認められている。 家事事件手続法は、当事者が遠方に住んでいる場合や、家庭裁判所が相当と認めるときは、当事者の意見を聞いたうえで「テレビ会議システム」や「電話会議システム」(以下、「テレビ会議」「電話会議」)を利用し、期日における手続をおこなうことができるとしている(家事事件手続法54条、258条1項)。 最高裁判所の担当者によると、2019年1月から12月までの1年間で家事事件において「テレビ会議」が利用されたのは200回程度。電話会議の利用状況は把握していないという。 「電話会議」は電話機器を使用した音声による会話のみが可能。一方、「テレビ会議」は映像機能が付加され、画面ごしにお互いに相手の姿を認識しながら会話をすることができ、全国の家庭裁判所本庁・支部、一部の出張所で利用することができるという。 通常であれば、当事者は離婚調停の期日に係属裁判所(調停が申し立てられた家庭裁判所)に出頭する必要がある。そのため、場合によっては、遠方に出向かなければならない。しかし、「テレビ会議」「電話会議」を利用する場合は係属裁判所に出頭する必要はない。 「電話会議」を利用する場合は弁護士事務所などに、「テレビ会議」を利用する場合は同じシステムが設置されている最寄りの裁判所に出頭することになる。 ただし、離婚や離縁を「成立」させる場面や、合意に相当する審判の合意を「成立」させる場面においてはいずれのシステムも使うことはできない(同法268条3項、277条2項)。そのため、調停が成立する日(最後の調停の日)には、調停期日に家庭裁判所に出向く必要がある。 ●「電話会議システム」による離婚調停のメリットとデメリット
緊急事態宣言が発令されたことを受け、全国の裁判所で裁判期日の取り消しや延期が相次いでいる。
ネット上には、離婚調停中(予定)の当事者から「離婚の成立が遠のいた…」「頭がどうにかなりそう」「婚姻費用を支払ってもらえない。キツイ」などの声も上がる。中には「安全面からもリモートで調停ができればいいのに」「調停くらいテレワークできないのかな」という意見もみられるようになった。
一般のビジネスでも、Zoomなどを利用したオンライン、ビデオ会議が積極的に使われるようになっており、裁判所にも導入を求める声は強まっている。離婚調停において、「テレビ会議」「電話会議」の利用は認められないのだろうか。
実は、「テレビ会議」や「電話会議」を使うことは法律でも認められている。
家事事件手続法は、当事者が遠方に住んでいる場合や、家庭裁判所が相当と認めるときは、当事者の意見を聞いたうえで「テレビ会議システム」や「電話会議システム」(以下、「テレビ会議」「電話会議」)を利用し、期日における手続をおこなうことができるとしている(家事事件手続法54条、258条1項)。
最高裁判所の担当者によると、2019年1月から12月までの1年間で家事事件において「テレビ会議」が利用されたのは200回程度。電話会議の利用状況は把握していないという。
「電話会議」は電話機器を使用した音声による会話のみが可能。一方、「テレビ会議」は映像機能が付加され、画面ごしにお互いに相手の姿を認識しながら会話をすることができ、全国の家庭裁判所本庁・支部、一部の出張所で利用することができるという。
通常であれば、当事者は離婚調停の期日に係属裁判所(調停が申し立てられた家庭裁判所)に出頭する必要がある。そのため、場合によっては、遠方に出向かなければならない。しかし、「テレビ会議」「電話会議」を利用する場合は係属裁判所に出頭する必要はない。
「電話会議」を利用する場合は弁護士事務所などに、「テレビ会議」を利用する場合は同じシステムが設置されている最寄りの裁判所に出頭することになる。
ただし、離婚や離縁を「成立」させる場面や、合意に相当する審判の合意を「成立」させる場面においてはいずれのシステムも使うことはできない(同法268条3項、277条2項)。そのため、調停が成立する日(最後の調停の日)には、調停期日に家庭裁判所に出向く必要がある。