―憲法改正への立場は。
現行憲法の前文を含む全条項を厳格に守る。9条を生かした平和外交で、地域と世界の平和に貢献する日本にすることが必要だ。安倍晋三首相が進める「海外で戦争をする国」をつくるための9条改定には厳しく反対する。
―諸外国で改憲は何度も行われているが。
9条を持っている国は世界の中で日本だけだから、非常に先駆的だ。30条にわたる豊かな人権条項もある。変えるべきは、憲法をないがしろにしてきた政治だ。
―24条の「婚姻は両性の合意のみに基づく」など、現状にそぐわない条文もあるのでは。
決して同性婚を否定していないというのが憲法学界の多数の意見だ。戦前の家制度では家長の許可がないと婚姻ができなかった。現行憲法はパートナー、カップルの合意、それのみによって成立するというのが核だ。現行憲法には奥行きがあり、その核の考え方に基づけば、ほとんどの問題は応用編として解決する。
部分的な改憲論にくみすると、結局「9条を変えよう」と誘導される。自衛隊の存在を合憲化すれば、海外での武力行使に歯止めがなくなる。
―政府が緊急事態宣言を発令した。自民党内には改憲による緊急事態条項創設の動きがある。
一定の外出自粛、休業要請は現状では必要だ。これを実効あらしめる補償がないのが問題だ。自民党改憲案の緊急事態条項は、公の利益のために人権を制約する。公とは国家で、国家権力のために人権を制約する考え方だから、大変危険で絶対に反対だ。衆参憲法審査会は改憲を発議する機関だ。開催する必要はない。
―立憲民主党などに「野党連合政権」実現を訴えた。党独自の見解を政権に持ち込まないのか。
党として「自衛隊は違憲」という立場は変えないが、それを持ち込んだら連合政権はつくれない。立場の違いはいろいろなプロセスの中で起こり得る。連合政権は「自衛隊は合憲、集団的自衛権は違憲」という判断で臨めばいい。
―党綱領は天皇制の存廃を「国民の総意で解決」とうたうが。
天皇の制度は現行憲法を厳格に守る。うんと将来に存廃が問題になることはあり得る。決めるのは国民で(廃止に向けた)運動や多数派形成はやらない。
―天皇制廃止なら改憲が必要では。
当然そうなる。
[時事通信社]