遺伝子薬、1回1億6707万円で保険適用へ 国内史上最高額、難病治療

難病の脊髄(せきずい)性筋萎縮症の遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」について厚生労働省は1回1億6707万7222円で公的医療保険を適用する方針を固めた。薬としては国内最高額だが、高額医療費の自己負担を減らす制度などにより、患者の窓口負担は限定的となる。13日に厚労相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」で承認される見通し。
脊髄性筋萎縮症は、運動神経を維持して筋肉を動かすのに不可欠なたんぱく質が不足する神経疾患。特定の遺伝子の機能が欠けるのが原因で、生後6カ月くらいまでに発症する最重症のタイプでは、症状が進むと筋力が低下し、人工呼吸器が必要となる。
薬は2歳未満の患者に、正常な遺伝子を点滴で1回投与する。国内では3月に承認され、スイスの製薬大手ノバルティスファーマが保険適用を申請していた。
米国での販売価格は212万5000ドル(約2億2700万円)。厚労省は、脊髄性筋萎縮症の他の薬と異なり、投薬が1度で済む点を評価した。国内の薬としてはこれまで最高額だった白血病治療薬「キムリア」の1回3349万円を大きく上回る。
ノバルティスファーマの予測では、2020年度の1年間に国内で25人の投与と、42億円の市場規模を見込んでいる。【原田啓之】