抗原検査キット、国内初の実用化 厚労省13日に薬事承認 新型コロナ

厚生労働省は、新型コロナウイルス感染の有無を短時間で調べられる抗原検査キット「エスプライン SARS-CoV-2」を13日に薬事承認すると発表した。臨床検査薬を製造・販売する「富士レビオ」(東京都)が開発したもので、国内で抗原検査キットが実用化されるのは初めて。13日の中央社会保険医療協議会で公的医療保険の適用を決める。同省は検査料を1回6000円とする方針だが、PCR検査と同様、患者自己負担分は当面公費で賄う方向で調整している。
抗原検査は、インフルエンザなどの診断で使われる手法で、医師が鼻の奥(鼻咽頭(いんとう))から綿棒で検体を採取し、キットに反応させて感染の有無を調べる。陽性の場合は15~30分程度でキットに印が浮かび上がる。検体採取時に医療用防護具の着用など感染防止対策が必要なため、同省は、当面は「帰国者・接触者外来」などPCR検査を既に実施している医療機関を対象に供給を進める方針だ。
現在は、ウイルスの遺伝子を増殖させて感染の有無を調べるPCR検査が唯一の診断方法だが、医療現場で採取した検体を検査機器のある機関に持ち込まなければならず、結果の判明にも4~6時間かかる。
PCR検査の体制が整わず検査件数が伸び悩む中、医療現場などでは抗原検査キットの活用による診断の効率化への期待は大きい。一方、PCR検査と比べて精度が低く、ウイルス量が少ない患者の場合は感染を見落とす可能性がある。このため同省は検査対象を発熱などの症状が出ている患者に限り、「陽性」が出た場合は確定診断として認める一方、「陰性」の場合はPCR検査を追加で行うよう求めるなど、使用方法のガイドラインを13日中に公表する。【横田愛、原田啓之】