「14日に専門家から意見をいただき、一部解除が可能かどうか発表したい」
緊急事態宣言の解除をめぐり、11日の衆院予算委でこう答弁した安倍首相。西村コロナ担当相も特定警戒都道府県以外の34県について、新規感染者数が減っていることから「解除が視野に入ってくる」と緩和に前のめり。早ければ、14日にも一部で緊急事態宣言が解除される可能性が出てきた。
しかし、解除の判断を安倍政権に任せて大丈夫なのだろうか。感染の実態を把握していないからだ。
厚労省が東京都の死亡者数を都のホームページをもとに19人から171人に変更したことについて、「正しい情報が総理や加藤大臣、西村大臣のもとに集まっているか?」と野党議員から突っ込まれると、加藤厚労相は「いつの、どういう報道ですか」と困惑。続いて答弁に立った西村氏も「一部修正がなされたというふうに理解しているけれども、正確な数字は覚えておりません」と白状した。
厚労相とコロナ担当相が数字を把握していないこと自体、オドロキだが、問題はこれだけじゃない。参院予算委では、政府専門家会議の尾身茂副座長が「報告されているより(感染者の)数が多いのは間違いない」と答弁。今月4日の会見で、感染者数が実際の10倍との分析について「おっしゃる通り」と同意していたにもかかわらず、「(感染者数が)本当に10倍か15倍か20倍かは誰も分からない」「10倍かどうかと言うことは私にはできません」――とサジを投げたのだ。
■韓国やドイツですらクラスター発生
日本の約6.5倍PCR検査をして感染拡大を防いだ“優等生”の韓国やドイツですら、外出規制を緩和した途端、クラスター発覚が相次いでいるのに、感染実態すら分かっていない“劣等生”の日本政府が緊急事態宣言を解除して心配はないのか。感染症学が専門で西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏が言う。
「そもそも、政府は『人との接触を8割減らす』ことを訴えていますが、具体的に何を8割減らせばいいのかサッパリ分かりません。人数や行動範囲、仕事時間などいろんな基準がありますから、データに基づくサイエンスとは言い難い。数字の扱い方を理解していない時点で話になりません」
まだ感染の“第1波”を封じ込められていない安倍政権。緊急事態宣言を解除したら、たちまち感染第2幕となりかねない。