天神に戻り始めた人出 「解除は早い」不安の声も 緊急事態解除初日の福岡

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」が九州全県など39県で解除されて一夜明けた15日、福岡県内では事業者への休業要請が一部を除き解除された。新型コロナが終息しない中で新たな日常をスタートした人たちからは、店舗再開で街に活気が戻ることへの期待の一方、気の緩みが再び感染拡大を招かないかとの不安も聞かれた。
マスク姿の通勤客が続々
福岡市中央区の西鉄福岡(天神)駅では15日朝、マスク姿の通勤客が傘を手に次々と職場に向かった。駅員によると、緊急事態宣言解除前と比べて、人の往来はやや増えたという。
同区のメーカーに勤務する女性(46)は「会社は今月末までテレワーク。自分に解除の影響はないが、休業を強いられていた飲食店が再開できるのは良かった」とほっとした表情。福岡県太宰府市の接客業の女性(49)は「屋台など飲食店に営業を再開してほしいのと、感染への不安が残るのと半々」と複雑な心境。
同市の会社員男性(27)は「宣言延長から解除までの期間が短かったのでは」と指摘。「半月ほど仕事も休みになり給料も減った。解除されてもすぐに経済は戻らないと思うので生活への不安は残る」と話した。【山口桂子】
市営地下鉄は「マスク&ライド」
福岡市は15日、市地下鉄でのマスク着用や会話自粛を呼びかける「マスク&ライドキャンペーン」を始めた。同市中央区の天神駅改札口では市交通局職員が「マスクを着けてのご利用をお願いします」と呼びかけ、着用していない利用客にマスクを配った。
市地下鉄の利用者は1日平均約47万人(2018年度)。緊急事態宣言で減った利用者が解除に伴い増加すると見込んでおり、感染防止を目的に始めた。18日までは朝の混雑時間帯に全35駅の改札口前でマスクを持たない利用客に無料配布。19~29日の平日は、マスクを渡したうえで実費相当の1枚50円を目安に寄付を呼びかける。
市交通局は「新型コロナの影響でマスクの着用率は格段に高くなっているが、気の緩みで第2波、3波が起きると困る。抑止につなげていきたい」と話した。【加藤小夜】
人混み避け早い時間に公園へ
滑り台やアスレチック用の大型遊具などに立ち入り禁止のテープが張られている福岡市中央区の大濠公園では、午前8時半ごろから親子連れの姿が見られた。4歳と3歳の姉妹を連れた同区の母親(34)は「お昼までに人が多くなってしまうので、子ども同士の接触を避けるため、時間をずらして早めに来ている。マンションでは騒音も気にしてしまい、外に出ることが大事。遊具は二の次だが、『3密』にならず、外で子どもを遊ばせる空間が欲しい」と話した。
午前10時前には、休校中の小中学生らがブランコや、持参したバドミントンなどで遊ぶ姿も。4歳と2歳の兄弟を連れた同区の男性看護師(32)は「緊急事態宣言の期間が続くと思っており解除は早い気がする。自粛は今後も必要なのに、公共の場でも急な緩みにつながってしまわないか心配だ」と複雑な表情を浮かべた。【飯田憲】