愛媛県は、特産のマダイと高級養殖魚「媛(ひめ)スマ」を県内の公立小中学校の給食に提供する。マダイは国内生産量の5割超を同県が占め、媛スマは食味の良さから“全身トロ”と賞されるスマのブランド魚だが、いずれも新型コロナウイルスの影響により需要が低迷。深刻な影響を受けている漁業者らの支援が狙い。
農林水産省の海面漁業生産統計調査(2018年)によると、養殖マダイの収穫量は国内6万700トンのうち、愛媛県が3万4000トンと断トツ。2位・熊本県の8600トンを大きく引き離している。スマは水揚げ量が少なく、長らく「幻の魚」といわれていたが愛媛県が養殖を進めている。
マダイは郷土料理の「鯛(たい)めし」として県民には身近な存在。特にこの時期は、卒業や入学といったお祝いごとをはじめ、花見や婚礼といった“めでたい”イベントには欠かせない食材だ。
が、新型コロナによる外出自粛と、相次ぐ飲食店の休業で消費が激減。東京都中央卸売市場が出す日報でも、4月のマダイ(活マダイ)の卸売数量は全国的な傾向として、前年同月のおおむね半分から半分以下の日が続いている。仮に終息したとしても観光ムードの急激な上昇は見込めず、厳しい状況は当面続きそう。
県漁政課によると、学校給食での提供は9月ごろからを想定。月に2回程度、計13回を予定している。加工費などとして4月に4億2500万円の補正予算を計上している。
今回の救済措置はコロナ禍を受けた対応ではあるが、子供たちの「食育」や地場産品の消費拡大といった側面もある。同課は給食の後「『じゃあ今度の日曜日はお父さんと一緒に給食で食べたお魚をスーパーに買いに行こうか』という感じになるとうれしい」と話した。【木島諒子】