実は民間登用も可能「橋下徹氏を検事総長に起用しては」 検察庁法改正見送りを機に「司法改革」進めよ 八幡和郎氏考察

政府・与党は、検察官の定年延長を含む国家公務員法改正案の今国会での成立を見送った。ただ、世界で「日本の司法制度」が批判されるなか、この機を捉えて「検察改革」を進めるべきではないか。評論家の八幡和郎氏が考察した。

メディアは「検察庁法改正案断念」と報じているが、これは不正確だ。国家公務員法改正案が継続審議となり、そのあおりで、関連する「束ね法案」の1つである検察庁法の改正も先送りとなっただけだ。
先週の夕刊フジへの寄稿でも書いたように、「黒川弘務・東京高検検事長の定年延長」と、今回の法案は本来関係がない。安倍晋三内閣が無理をして成立させる動機もない。
困るのは、元検事総長らが反対の意見書を出すなどして、「検察人事の強い独立性」を要求したので、その主張が通ったと誤解されることだ。
日本の司法制度では、検察や警察が恣意(しい)的に、それまで罪に問われたことのないような容疑で著名人を逮捕し、長期間拘留して精神的に追いつめて自白を引き出してきた。起訴後もなかなか保釈しないため、有罪判決も出ていないのに、企業家や政治家の第一線から葬り去られた。しかも、裁判で無罪になることは稀(まれ)だ。
これまでも、田中角栄元首相などの政治家や、佐藤優氏のような官僚、リクルートの創業者の江副浩正氏、投資家の村上世彰氏、ホリエモンこと堀江貴文氏などが検察の標的にされ、「改革の障害」にすらなってきた。
しかし、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の逮捕で国際的な注目を集め、世界各国の首脳までが「日本の司法制度の反近代性」を批判し、かえって「司法改革」の機運を高めた。
海外では容疑に問われても身柄の拘束は少ないし、取り調べに弁護士が同席でき、有罪判決が出るまで職にもとどまれる。
欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁など、刑事被告人のまま国際通貨基金(IMF)専務理事となり、有罪判決を受けたが「微罪だ」として地位にとどまり、さらに現在のポストに信任された。
世界の視線が厳しいときに、これまでよりも「検察人事の独立性を強める」など、おかしな主張だ。そもそも、内閣は検事総長を自由に任命できる法制度になっている。実は、民間登用も可能だ。
民主党政権では、官房長官を務めた仙谷由人氏が「検事総長の民間起用」を検討していたとされる。検察庁法をみると、弁護士経験者なら問題なさそうである。
もちろん、明らかに「政権ベッタリ」の人物では国民の支持は得られないが、与野党で納得できる人物を検事総長にして、「司法改革」に取り組んではどうか。誰か適任者はいるのか?
ダントツで推薦したいのは元大阪府知事・大阪市長である橋下徹氏だ。弁護士であり、「大阪府市改革」に成果を上げてきた実績もある。何しろ、突破力抜群だ。これほど、橋下氏にぴったりの仕事もないと思う。