政府は25日、4月7日から49日間続いた新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言を全面解除した。感染者数や死者数は欧米各国と比べてケタ違いに少ないが、京大大学院医学研究科非常勤講師で医師の村中璃子氏は緊急寄稿で、実態はPCR検査をあおったメディアの「人災」により医療崩壊の瀬戸際だったと総括する。村中氏はまた、冬場の本格的な再流行に備えて、「3密」や「接触8割減」に代わる新たな社会生活のモデルが必要だと指摘した。◇ 日本の対策で最も特徴的だったのは、国民的信仰ともいえる「PCR検査実施件数」へのこだわりだ。SARS(重症急性呼吸器症候群)を経験した中国や台湾、MERS(中東呼吸器症候群)を経験した韓国とは異なり、日本のPCR検査キャパシティーは低かった。そのためPCR検査のキャパシティーを上げつつも、クラスター(感染者集団)と重症者への対策を中心に「医師が必要と判断した場合」に限ってPCR検査を実施する戦略をとってきた。 当初は1日数百件しか実施されていなかったPCR検査はピーク時には1日8000件超にまで増え、日本のPCR検査キャパシティーは短期間で大きく向上したといえる。 しかし、メディアには「PCRが足りていない!」と煽(あお)る“専門家”が多数登場し、検査の必要はないが検査を希望する人たちが医療施設や保健所に殺到。医療現場は逼迫(ひっぱく)し、危うく医療崩壊を起こしかけた。イタリア、米国、スペインなど、重症患者が多数出て医療崩壊を起こした国はあったが、PCR信仰による人災ともいうべき医療崩壊が起きかけた国は世界でも日本くらいのものだろう。 2つ目に、流行の初期から収束した現在に至るまで全国的に休校を続けたことだ。学校でのクラスターが発生したわけでもなく、専門家委員会がその必要性を認めていたわけでもないのに、安倍晋三首相の判断で一斉休校の指示が出たのは、自粛要請より緊急事態制限より前の3月2日のこと。そのため、日本では休校が流行抑止に与えた影響が分かっていない。 3つ目に、「8割減の流行予測モデル」「受診の目安」「3密(密閉・密集・密接)を避ける」など、一度提示されたモデルや基準はなかなか見直されないという点だ。「人と人との接触を8割減しないと流行爆発が起きる」というモデルが提示され、自粛が要請されたのは3月初めのことだ。その後、8割減も流行爆発もせずに1カ月以上が過ぎた。
政府は25日、4月7日から49日間続いた新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言を全面解除した。感染者数や死者数は欧米各国と比べてケタ違いに少ないが、京大大学院医学研究科非常勤講師で医師の村中璃子氏は緊急寄稿で、実態はPCR検査をあおったメディアの「人災」により医療崩壊の瀬戸際だったと総括する。村中氏はまた、冬場の本格的な再流行に備えて、「3密」や「接触8割減」に代わる新たな社会生活のモデルが必要だと指摘した。
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日本の対策で最も特徴的だったのは、国民的信仰ともいえる「PCR検査実施件数」へのこだわりだ。SARS(重症急性呼吸器症候群)を経験した中国や台湾、MERS(中東呼吸器症候群)を経験した韓国とは異なり、日本のPCR検査キャパシティーは低かった。そのためPCR検査のキャパシティーを上げつつも、クラスター(感染者集団)と重症者への対策を中心に「医師が必要と判断した場合」に限ってPCR検査を実施する戦略をとってきた。
当初は1日数百件しか実施されていなかったPCR検査はピーク時には1日8000件超にまで増え、日本のPCR検査キャパシティーは短期間で大きく向上したといえる。
しかし、メディアには「PCRが足りていない!」と煽(あお)る“専門家”が多数登場し、検査の必要はないが検査を希望する人たちが医療施設や保健所に殺到。医療現場は逼迫(ひっぱく)し、危うく医療崩壊を起こしかけた。イタリア、米国、スペインなど、重症患者が多数出て医療崩壊を起こした国はあったが、PCR信仰による人災ともいうべき医療崩壊が起きかけた国は世界でも日本くらいのものだろう。
2つ目に、流行の初期から収束した現在に至るまで全国的に休校を続けたことだ。学校でのクラスターが発生したわけでもなく、専門家委員会がその必要性を認めていたわけでもないのに、安倍晋三首相の判断で一斉休校の指示が出たのは、自粛要請より緊急事態制限より前の3月2日のこと。そのため、日本では休校が流行抑止に与えた影響が分かっていない。
3つ目に、「8割減の流行予測モデル」「受診の目安」「3密(密閉・密集・密接)を避ける」など、一度提示されたモデルや基準はなかなか見直されないという点だ。「人と人との接触を8割減しないと流行爆発が起きる」というモデルが提示され、自粛が要請されたのは3月初めのことだ。その後、8割減も流行爆発もせずに1カ月以上が過ぎた。