マスクを着用して登下校する児童生徒の熱中症リスクを心配する声が高まっている。文部科学省は22日に公表したマニュアルで「熱中症リスクが高ければ外して」と新たに呼びかけたが、それ以前に出された「通常は着用」という通知に基づいて登下校中もマスク着用を指導する学校が多い。一方、マスク着用を求めるのをやめ、熱中症予防と児童間の距離確保を兼ねた「傘さし登下校」を始めた小学校もある。
「マスクをつけて外を歩くのは熱中症リスクがとても高い」。愛知県豊田市立童子山小の野田靖校長は危惧する。同小は27日からは傘をさして登下校してもらうことにした。そうすれば直射日光が遮られるだけでなく、児童間の距離も一定程度保てると考えた。代わりに登下校中のマスクは「外してもよい」と方針を変えた。
野田校長は「特に心配なのは低学年。暑さによる体調異変に気づきにくく、気づいても訴えられない子も多い」と話す。
文科省は学校再開後のマスク着用について段階的に言及してきた。5月13日の通知では「学校教育活動では通常マスクを着用してください」と呼びかけたこともあり、登下校中も着用が必要と判断した自治体や学校は多かったようだ。
しかし、気温の上昇とともにマスク着用による熱中症リスクへの懸念が徐々に高まり、21日には同省外局のスポーツ庁が「体育の授業では不要」と通知した。翌22日に公表した学校での衛生管理マニュアルでは「熱中症などの健康被害が発生する可能性が高いと判断した場合はマスクを外してください。その際は換気や児童生徒の間に十分な距離を保つなどの配慮を」と呼びかけている。
同省健康教育・食育課の担当者も「暑い日の登下校中のマスク着用はむしろ危険な場合もあるのでは」と話し、次に更新するマニュアルなどへの追記も検討したいという。環境省と厚生労働省も26日、熱中症予防のポイントを公表し、屋外で人と2メートル以上の距離を確保できる場合は適宜マスクを外すよう呼びかけた。
日本小児科医会の神川晃会長は「距離を取ったり会話を控えたりするなら、登下校中はマスクを外していいと思う」と話す。「感染対策に取り組む学校現場の負担は相当なものだと思うが、どうかしゃくし定規にならず、子ども側の視点に立った現実的な方法を選んでいってほしい」【尾崎修二】