福岡県「再生産数」上昇はコロナ第2波の予兆か 「第2波の只中」厚労省からクラスター班派遣

5月25日、首都圏の1都3県と北海道における緊急事態宣言が解除された。これで約1カ月半におよぶ緊急事態宣言がすべての都道府県で解除されたことになる。全国では4月中旬(報告日ベース)をピークとする「第1波」はひとまず回避されたとする見方が強い。

一方で、いったん底を打った新規感染者数が足元で再び増加に転じつつある都道府県も見られる。福岡県では4月30日以降、日別の新規感染者数が3人を超えることはなかったが、5月23日ごろから徐々に増加傾向となっている。

特に北九州市では直近(5月29日)の感染者は介護施設職員や医療スタッフを中心に26人と、1日の新規発生数では最多となった。北九州市の北橋健治市長は「第2波の真っ只中にいる」との認識を示し、厚生労働省からはクラスター対策班が派遣された。
■福岡県で急上昇する実効再生産数
福岡県の各種指標で、特に顕著な上昇を見せているのが実効再生産数だ。23日時点では0.37だったものが28日には9.68と、急上昇を示している。

ここで改めて実効再生産数の解説をしておこう。実効再生産数とは「1人の感染者が新たに何人に直接ウイルスを感染させるか」、言い換えると1人の1次感染者が生み出す2次感染者の数を表す指標だ。1を超えれば感染者数が増加傾向、逆に1を下回ればウイルスの流行が収束傾向にあることを示す。
本来であれば個別のケースについて発症日や感染日を特定・推定して計算を行うが、東洋経済オンラインの特設データサイト『新型コロナウイルス 国内感染の状況』では政府の専門家会議のメンバーである北海道大学大学院医学研究院・西浦博教授の考案した数理モデルに沿って、報告日をベースとした簡易的な計算方法で実効再生産数を算出している。
■実効再生産数が「1」を超えるのは4都道府県
発症日や感染日を考慮すると、精緻な結果が得られる代わりに調査や推定に時間がかかる。流行動態をなるべくリアルタイムに把握するために近似的な変換を行っている。詳しい解説は5月22日配信『東洋経済が新型コロナ「実効再生産数」を公開』を参照されたい。
実際の計算式は以下に表せる。
(直近7日間の新規陽性者数/その前7日間の新規陽性者数)^(平均世代時間/報告間隔)
福岡県においては、直近7日間(5月22日~28日)の新規陽性者数は24人、その前7日間(5月15日~21日)は1人だ。東洋経済オンラインでは西浦教授のアドバイスに沿って平均世代時間を5日、報告間隔を7日と仮定している。これを計算式に当てはめると、以下のようになる。
(24 / 1) ^ (5 / 7) = 9.6797…
このような計算式で実効再生産数を算出できる。これを見るとわかるように、福岡県に見られる急上昇は「第2波」である直近7日間の新規感染者数が多いことよりも、分母となる前週の新規感染者数が少ないことにも起因する。感染の規模よりも速さを見るのに適した指標であるため、実効再生産数を見る際には感染者(検査陽性者)の絶対数など別の指標もあわせて確認することが重要だ。
現時点において全国で実効再生産数が1を超える、すなわち前週と比べて感染者が増加傾向にあるのは東京都や北海道など4都道府県。言い換えると大半の地域では収束傾向が続いているが、様々な指標から今後の動きを注視する必要がある。
荻原 和樹:東洋経済オンライン編集部