「コロナの感染リスク以上に、自宅以外の居場所を失って命を落としてしまう子もいるんです」。コロナによって、こども食堂の活動が見直されている。感染防止で「食べる場所」としての機能は休止していたが、食料や弁当を配布する「フードパントリー」の活動で存在感を示してきた。コロナ禍のこども食堂の課題は何か。(編集部・塚田賢慎) ●過半数のこども食堂が4月も活動を続けていた 3月に入って、小中学校等の休校によって給食がなくなった。様々な事情で「給食がなくなると困る」という家庭の受け皿になったのが、こども食堂だった。 NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」のアンケート(35都道府県231団体のこども食堂が4月13日~17日回答)によると、4月段階でも「通常通り開催(通常よりも多く開催)」している食堂(10%)と、食材・食事の受け渡しや配達をする「フードパントリー」として活動継続している食堂(46.3%)を合わせて、全体の約56%が支援を続けていることがわかった。 「こども食堂も悩んで悩んで、それでも過半数が動き続けてくれました」 むすびえの統括マネージャー三島理恵さんは「自粛の空気のなか、食堂のボランティアも『やるべき』『閉鎖すべき』と意見が割れました。運営側も応援者も『安心安全のためには、やらない選択肢が正しい』とは理解していながら、それでも地域のためにやめられない実態があります」と話す。 感染リスクを感じながら運営を続けていくには苦労もある。調査には、「ボランティアには高齢者も多い。感染には不安がある」「食材不足、資金不足」「活動場所がない」という現場の悩みが寄せられた。 「一度に50人にカレーを作ってふるまうのと、50人分の食材を各自に渡すのでは、倍以上のコストがかかります。公的施設の休業にともなって、会場に公民館などを利用していた食堂も活動できなくなりました」(三島さん) ●まだまだ資金・物資不足 現場からの求めに、資金面でなんとかできることを解決しようと、むすびえでも食材提供・寄付を募ることにした。助成金制度「むすびえ・こども食堂基金」を立ち上げたほか、いまもクラウドファンディングで活動支援資金を募っている。 食材だけでなく、消毒用アルコール液や、弁当の容器などの物資も不足している。 国や自治体からの資金的な援助も必要だ。熊本県など、子ども食堂に助成金を支給する自治体もあるが、まだ十分ではない。ただし、自治体と地域のこども食堂の連携が生まれたことは成果だという。
「コロナの感染リスク以上に、自宅以外の居場所を失って命を落としてしまう子もいるんです」。コロナによって、こども食堂の活動が見直されている。感染防止で「食べる場所」としての機能は休止していたが、食料や弁当を配布する「フードパントリー」の活動で存在感を示してきた。コロナ禍のこども食堂の課題は何か。(編集部・塚田賢慎)
3月に入って、小中学校等の休校によって給食がなくなった。様々な事情で「給食がなくなると困る」という家庭の受け皿になったのが、こども食堂だった。
NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」のアンケート(35都道府県231団体のこども食堂が4月13日~17日回答)によると、4月段階でも「通常通り開催(通常よりも多く開催)」している食堂(10%)と、食材・食事の受け渡しや配達をする「フードパントリー」として活動継続している食堂(46.3%)を合わせて、全体の約56%が支援を続けていることがわかった。
「こども食堂も悩んで悩んで、それでも過半数が動き続けてくれました」
むすびえの統括マネージャー三島理恵さんは「自粛の空気のなか、食堂のボランティアも『やるべき』『閉鎖すべき』と意見が割れました。運営側も応援者も『安心安全のためには、やらない選択肢が正しい』とは理解していながら、それでも地域のためにやめられない実態があります」と話す。
感染リスクを感じながら運営を続けていくには苦労もある。調査には、「ボランティアには高齢者も多い。感染には不安がある」「食材不足、資金不足」「活動場所がない」という現場の悩みが寄せられた。
「一度に50人にカレーを作ってふるまうのと、50人分の食材を各自に渡すのでは、倍以上のコストがかかります。公的施設の休業にともなって、会場に公民館などを利用していた食堂も活動できなくなりました」(三島さん)
現場からの求めに、資金面でなんとかできることを解決しようと、むすびえでも食材提供・寄付を募ることにした。助成金制度「むすびえ・こども食堂基金」を立ち上げたほか、いまもクラウドファンディングで活動支援資金を募っている。
食材だけでなく、消毒用アルコール液や、弁当の容器などの物資も不足している。
国や自治体からの資金的な援助も必要だ。熊本県など、子ども食堂に助成金を支給する自治体もあるが、まだ十分ではない。ただし、自治体と地域のこども食堂の連携が生まれたことは成果だという。