集団予防接種によるB型肝炎患者を救済する国の給付金を巡り、発症から提訴まで20年が過ぎたことを理由に給付額を減額された広島市の男性2人が、国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、広島地裁は2日、請求を棄却した。
損害賠償の請求権が、被害確認されてから20年で消滅する民法の「除斥期間」について、その起算点を発症時とするか再発時にするかが争点だった。原告側は再発時にするよう求めていたが、小西洋裁判長(森実将人裁判長代読)は再発時に発症時とは別の新たな損害が発生したとはいえないと判断。「起算点は発症時とすべきだ」とし、訴えを退けた。
弁護団によると、同種訴訟の判決は3例目。2017年の福岡地裁は患者への賠償を認めたが、福岡高裁は19年4月、除斥期間の経過で請求権が消滅したと判断して請求を棄却した。除斥期間を巡って係争中の慢性肝炎患者などは、全国に約240人いる。
B型肝炎を巡っては、国が裁判手続きを経て給付金を支払う特別措置法が12年に施行された。裁判を起こして和解に至った慢性肝炎患者には1250万円が支払われるが、除斥期間が過ぎた後に提訴した患者には300万円が支払われる。
弁護団によると、原告はいずれも1985年ごろに発症した50代と60代の男性。97~99年に再発し、300万円の給付が提示されていた。2人はそれぞれ訴訟で1250万円の支払いを求めていた。【手呂内朱梨】