山口組対立抗争再び火ぶた あえて法要狙った効果とリスク

「やることがえげつないな」――ベテラン捜査員がこう漏らした。

岡山市の神戸山口組系池田組本部前の路上で先月30日、同組の前谷祐一郎若頭(58)が、6代目山口組系大同会(鳥取県米子市)の若頭代行、岸本晃生容疑者(52)に銃撃された。当日は池田組本部で、4年前に対立する弘道会系組員に射殺された前任の高木忠若頭(当時55)の法要が営まれていた。

終了後、参列者を駅まで見送った前谷若頭が事務所に戻り、まさに車から降りた瞬間、「パン、パン」という銃声が白昼の歓楽街に鳴り響いた。最初に撃った4発のうち、1発が前谷若頭の腹部に命中。付近では兵庫、岡山両県警の捜査員が警戒にあたっており、約30分後、現場から約2キロ離れたところで逃走中の岸本容疑者を発見。リボルバー式拳銃1丁を所持していたため、現行犯逮捕した。

前出の捜査員がこう言う。

「山一抗争(1984~89年)の際も、墓参り中の組員が襲撃されたことがあった。ただあれは異例のことや。親分が殺され、お互い血眼になっとったからな。相手に恐怖心を抱かせるいうても、リスクが高過ぎる。そばに捜査員がおるわけやし、6代目側が襲ったいうことはすぐにバレとんのやからな。これで特定抗争指定団体に指定され、事務所は使われへん。身動きがとれんようになる。今、そこまでのリスクを冒してやらなアカンのか疑問や」

池田組は神戸山口組の中でもトップクラスの資金力を誇り、前谷若頭は組織のナンバー2だ。

「考えられるとしたらシノギに困って、資金源を獲得せなアカンようになったいうことちゃうかな。ただでさえシノギがないところに、コロナが追い打ちをかけたからな。とはいえ、そのコロナで大変な時に拳銃をぶっ放して人を殺そうとするアホなど世間が許さへんわな。当局やって本気で取り締まらんと、叩かれる。より追い詰められるんやから、自分で自分の首を絞めるようなものや」(前出の捜査員)

すべて裏目に出たようだ。