まるで“ジキルとハイド”だ。医療従事者をねぎらうためにブルーインパルスを東京上空で編成飛行させた河野防衛相のことである。
過去、国会でプロセスの重要性を指摘していたのに、編成飛行の発案者については当初、「やるということが大事でプロセスはどうでもいい」とヒタ隠し。その変節ぶりに、ますます磨きがかかっている。
コトの発端は、河野氏の「プロセスどうでもいい」発言。民主主義の根幹を否定するこの暴言に批判が寄せられると、なぜか自身のブログ(1日付)で〈医療従事者への敬意と感謝を示すためにブルーインパルスを飛行させることができないか検討するように指示〉と明かした。
翌2日に「航空自衛隊に(編成飛行の)検討を求めた」と会見で改めて認めたものの、「プロセスどうでもいい」発言については「ブルーインパルスが飛ぶという時に『あれは私の発案です』というのは、あまり私のスタイルではないというか、野暮だと思います」とナゾの釈明。初めから「私が発案者です」と明言しておけば、後から言い訳という醜態をさらすことにはならなかったはずだ。
過去の国会質問と比較すると、河野氏のダサさ、変節ぶりは一層明確だ。
1997年4月の衆院消費者問題等に関する特別委員会で、1回生だった河野氏は、遺伝子組み換え食品表示について「安全かどうかという判断もプロセスをオープンにして消費者にご判断をいただく、そういうことなんではないか」と主張。また、同年同月の衆院環境委員会では、環境アセスメント法案作成に関する議事録を「たたき台がつくられた過程もわからない大変不十分なもの」と指摘し、「審議の過程がわかるようなものにしていただけるのか」と政府に詰め寄っていた。
若手の頃は「プロセス」「過程」を強調していたのに、大臣ポストをあてがわれてエラくなった今は「プロセスどうでもいい」と言い放つ。“忖度しない男”と呼ばれたのも遠い昔だ。原発再稼働や米国の小型核兵器開発の是非、辺野古新基地建設を巡り変節を繰り返してきた姿は、もはや“二重人格”ではないかと疑いたくなる。
自身に批判的な記者や一般人をツイッター上でブロックしまくった結果、付けられたあだ名は“ブロック太郎”。国民の抗議に耳を塞ぐ変節大臣こそ、野暮ったい。