「持続化給付金」事業、野党側が指摘する「疑惑」と政府側の「説明」 3つのポイントを元経産官僚・宇佐美典也氏が解説

新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」事業をめぐり、一部野党やメディアは、国から業務委託を受けた民間団体の実態が不透明だなどとして連日追及している。これに対し、政府側は「特段の問題はない」という姿勢で、安倍晋三首相は4日の参院厚生労働委員会で、「必要な情報開示も含め(担当省庁に)丁寧な説明をさせたい」と述べた。頭を整理するためにも、野党側の指摘する「疑惑」と、政府側の「説明」をまとめた。
持続化給付金は、コロナ禍で打撃を受けた中小企業などに、5月8日から振り込みが始まった。経産省の公式ツイッターによると、6月1日までに150万件を上回る申請があり、これまでに100万件超の事業者に総額約1兆3400億円の給付金が届いたという。
この支給業務は、政府から一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」(東京)に769億円で委託された後、749億円で広告大手の電通に再委託された。
このため、一部野党やメディアは、(1)差額の20億円が“幽霊法人”の同協議会に「中抜き」された疑惑がある(2)委託先を選ぶ入札で、参加した2社で「A評価」だった別の会社ではなく、「C評価」の同協議会が選ばれたのはおかしい(3)政府が電通に直接委託していれば税金を節約できた-などと追及している。
これに対し、経産省は、(1)について「協議会は給付金の振り込み業務などを担当している。20億円の内訳は銀行に支払う振込手数料(15・6億円)や人件費(1・2億円)など、適切な支出だ」(1日、野党合同国対ヒアリング)と説明した。
(2)については、3日の衆院経済産業委員会で、中小企業庁の担当者が「提案内容の技術点や価格などを総合的に勘案した結果だ」と回答。
(3)には、梶山弘志経産相が同日、「直接契約すれば電通の財務会計上の処理が複雑化する。過去に、電通から『電通は、直接受託しないことを原則としている』と聞いた」と答弁した。
これらの「疑惑」と「説明」を、どう解釈すべきか。
元経産官僚で政策コンサルタントの宇佐美典也氏は、まず(1)について、「振込手数料を1件数百円として何百万件も振り込めば、10億円以上コストがかかる。20億円が協議会の利益になるわけではない。委託事業の人件費にも上限がある。過大請求はできず、とても『中抜き』できる構造にはない」と解説した。
(2)と(3)については、「落札先選びは、委託を受ける側との調整の結果だ。複雑な制度となる今回は、あくまでスピード感を重視して、柔軟に考えたようだ」「昔なら、各省庁は関連の独立行政法人などに業務を任せたが、公務員の人員削減で大規模事業の外部委託は標準化している。給付金を迅速に配るには、協議会などのスキームも必要だった」という。
そして、最後に「今の段階(=給付作業の最中)で、野党があれこれ言うのはどうか。委託事業の監査後に厳しくやればいい」と語っている。