大阪都構想、制度案決定へ再始動 11日に法定協で最終審議

新型コロナウイルスの感染拡大防止に警戒が続く中、大阪都構想の制度案(協定書)をめぐる動きが再始動する。11日には、制度案を議論する法定協議会で最終審議が行われ、19日に制度案が決まる見込み。大阪維新の会代表の松井一郎・大阪市長は当初の予定通り11月の住民投票実施を目指しているが、感染が拡大に転ずれば延期する考えで、依然不透明な状況は続いている。
■9月に最終判断
大阪府では6月1日に休業要請が全面解除され、人の動きが徐々に活発化している。現在は、再び自粛を要請するかを判断する「大阪モデル」の基準値を下回っていることから、松井氏は「今の状況なら11月にやれるが、最終判断は9月となる」と言及。府市両議会で制度案を議決する9月の状況を見て、判断する構えだ。
もっとも、感染拡大に伴う緊急事態宣言の期間中でも、各地では予定通りに地方選挙や国政選挙が行われており、松井氏も「民主主義の根幹である選挙はやるべきだ」との立場だ。都構想の住民投票で慎重な姿勢を見せる背景には、住民投票の手続きを定めた大都市地域特別区設置法(大都市法)で、府市は住民に「理解を促進するよう、協定書の内容について分かりやすい説明をしなければならない」と規定されていることがある。
府市によると、平成27年5月の前回住民投票では、議決後、13日間で市内計39カ所で市民説明会を開催。当時の橋下徹・大阪市長も毎回出席し、約3万2千人の市民が参加したという。
ただ、こうした説明会は「3密」になりやすい。維新幹部は「なるべく広い会場で感染防止対策を徹底した形で行いたい」とするが、感染拡大の「第2波」が襲来していれば、説明会の形式を変える必要も出てくる。
ある市幹部は「法律上、直接説明するとは規定されていないので、紙やインターネット上での動画配信なども考えられる」と推測。ただ、「幅広い人に制度案を理解してもらいたいので、難しい面もある」とした。
■推進派も慎重
大阪都構想をめぐっては、各党とも今春から活動を本格化させる計画だったが、新型コロナウイルスの影響で、3月以降は実質ストップしたまま。制度案(協定書)決定が迫る中、活動再開を模索する動きもあるが、推進派の大阪維新の会や公明党からも「慎重を期すべきだ」との声は根強く、本格再開は当分先となりそうだ。
平成27年に前回住民投票が行われた5月17日。今年は緊急事態宣言下で、南海難波駅(大阪市中央区)前は日曜日にもかかわらず、行き交う人はまばらだった。維新はここで代表の松井一郎・大阪市長と代表代行の吉村洋文・大阪府知事が街頭演説を行う計画だったが、吉村、松井両氏は首長としてコロナ対応に奔走。維新の広報戦略を担う都構想戦略本部も、4月末のウェブ会議を最後に会合すら開けない状況が続いている。
維新内部では現状について、「吉村知事を司令塔に、スピーディーな意思決定ができた」(維新幹部)と、“追い風”とみる見方もある。一方、コロナ禍の中で都構想を語ることのハレーションを恐れる声があるのも事実だ。維新市議は「コロナで仕事を失い生活に困窮している人にとっては、制度改革よりも目の前の生活支援。コロナと都構想を結び付けて賛否は問えない」と話す。
ある維新府議は、本格的な活動再開は「松井代表が11月の実施を明言してからだろう」と推測する。当初の予定から相当先延ばしとなるが、戦略本部メンバーの府議は「5年間都構想の準備を進めてきた。3カ月あれば十分な活動ができる」と自信も見せる。
公明も、活動再開には慎重だ。公明府本部関係者は「(公明の)支持層に改めて都構想を説明するのに、世の中が通常モードになってから3、4カ月はかかるだろう」と話す。
これに対し、自民市議や共産市議は法定協の動画で「都構想よりコロナ対策を」と訴え、住民投票に反対する姿勢を明確に打ち出した。コロナ対応で吉村氏の露出が増え、支持が広がっていることに「今は『吉村バブル』」(自民市議)との危機感もある。一方、自民府議団には都構想に理解を示す声もあり、自民の対応がどうなるかはまだ不透明だ。