アコヤガイ、また大量死の恐れ 養殖真珠の三重・志摩 コロナ需要減とダブルパンチ

全国有数の養殖真珠の産地、三重県志摩市の英虞湾で6月に入り、真珠を育むアコヤガイが稚貝を中心に全滅したり半数以上が死んだりした養殖業者が出ている。英虞湾では2019年に大量死が起き、県が被害軽減マニュアルを作るなどしていたが、再び大量死が起きる恐れがある。真珠需要も新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んでおり、業者にはダブルパンチとなっている。
県によると、市内の真珠業者から「アコヤガイが死んでいる」との報告を相次いで受けるようになった。現地調査をし、貝殻を作る外套(がいとう)膜が縮んで死ぬ症状を確認。県は、餌となる植物プランクトンが例年より少ないことに加え、6月に入って海水温が上昇し稚貝がダメージを受けやすい状況になったとみている。
水産庁によると、19年9月末に生き残った県内の稚貝は、例年の1~5割だった。このため県は、冬場の海水温が高かったことやプランクトンが少なかったことなどが原因とみて、被害を軽減する養殖管理マニュアルを事業者に配り、再発防止を目指していた。
一方で、真珠業界は新型コロナウイルスにも苦しめられている。国産の真珠は香港や台湾向けに出荷されているが、県内の業者らが参加、出品する予定だった5月の香港での大規模な展示会が中止された。国内でも百貨店が臨時休業するなど、需要は落ち込んでいる。
英虞湾で30年以上、養殖を続けている原条誠也さん(60)は「大きな収入源だった展示会がなくなり、困窮する業者が増えた。今年も大量死となれば真珠業者は壊滅的だ」と危機感を募らせている。
三重県によると、県内の18年の真珠の生産量は4311キロで、生産額は35億9600万円。いずれも愛媛、長崎県に次ぐ第3位だった。【森田采花】