「性風俗業を差別しないで」 経営者ら、持続化給付金で陳情

デリバリーヘルスやラブホテルなど性風俗関連産業も「持続化給付金」の支給対象とするよう求め、経営者らが15日、集めた署名と陳情書を中小企業庁の担当者に手渡した。持続化給付金は新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた中小企業や個人事業主向けの支援策だが、「性風俗関連特殊営業」は対象外とされている。署名を集めるなど運動を展開する経営者らの訴えとは。【藤沢美由紀/統合デジタル取材センター】
「性風俗関連特殊営業」とは、デリヘルや店舗型ファッションヘルス、ラブホテルなど。個人事業主として性風俗業で働く人は持続化給付金の対象とされたが、法人は宗教団体や政治団体と並んで給付対象外となっている。
そこで、大阪市でデリヘルを経営する女性(33)が立ち上がり、5月半ばからインターネット上で署名を呼びかけた。福岡ですでにコロナ禍での水商売全般の支援を訴えて「ナイト産業を守ろうの会」を発足させていた特定行政書士で代表の佐藤真さん(36)と知り合い、会の「大阪支部」として活動することに。紙での署名を集めると同時に、インターネット上で発信を続けた。
女性はこうした運動を立ち上げたのは初めてという。声を上げた最大の理由は「職業差別ではないか」という思いだ。「法律を守って営業し、納税もしているのに、こうした非常時に守られないのは差別だと思う。対象外となる理由も明確でない」。さらに「こういう時に守られなければ、反社会勢力に頼ってしまう店が現れたり、違法な店が勢力を伸ばしたりすることにもつながる。業界の健全化や従業員の安全のためにも支援が必要だ」と訴える。
感染拡大防止の観点からも疑問がある。「休業は要請されるのに支援・補償が出ないとなれば、納得して休業はできない」。女性の店は大阪府の休業要請に従い、4月半ばから5月7日まで休業した。4月は例年比9割減、5月は5割減、6月も3割減という。「支援がなければ営業せざるを得ない店も出てくるだろう。まるで『感染しても仕方ない』と言われているような状況では、結局社会全体に影響が出るのでは」
15日、女性と佐藤さん、群馬県などでラブホテルを経営する市東剛さん(61)が衆院第2議員会館を訪れ、陳情書と紙で集めた署名416筆やインターネット上の署名533筆などを中小企業庁の担当者に手渡した。
佐藤さんは「対象外としている根拠がわからないのでこちら側から反論すらできない。理由をせめて教えてほしい」と訴え、市東さんも「業種で分けているが、その後ろには人がいる。経済的に困窮すれば死ぬしかないという経営者も出てくる。給付の対象外にするのは我々に死ねというのと同じだ」と憤った。
衆院議員の尾辻かな子、本多平直、田村貴昭の各氏も立ち会い、対象外となっている理由を問いただしたが、中小企業庁側は「検討はしてきたが、判断を変えるに至っていない」「(支援制度の対象外となってきた)過去の政策との整合性から総合的に判断して決めた」などと繰り返した。