政治とSNSについて最近気になることばかりです。
自民党広報のツイッター。こんな騒動が起きている。
《自民党がウェブサイトやツイッターで、ダーウィンの「進化論」と結びつけて憲法改正の必要性を訴える漫画を発信している。ツイッター上では「進化論を理解していない誤用だ」「政治に利用するのはこじつけだ」など、科学者を含む各方面から批判が相次いでいる。》(毎日新聞WEB6月21日)
批判だらけの“進化論”
「もやウィン」というキャラクターが「進化論ではこういわれておる」として、「最も強い者が生き残るのではなく 最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」と憲法改正を主張。
しかし、
・引用されたのはダーウィン自身の言葉ではなく、1960年代に米国の経営学者がダーウィンの著書「種の起源」を独自に解釈して論文発表した「誤用例」とされる内容だった。
・岩波書店のアカウントは「進化論でよくある勘違いとして、『進化』=『進歩』ではありません。進化とは多様性の源なのです」
など批判だらけになった(毎日・同)。
今回の件、自民党広報をツッコむのもいいが、私がしみじみするのは自民党など保守側がここしばらく掲げてきた「改革=すべて善」というイメージの集大成がここにあるのでは? と思えることだ。
小泉元首相も進化論で「構造改革」を訴えた
実は小泉純一郎元首相も2001年の所信表明演説で進化論を持ち出し「構造改革」を訴えたことがある。これに対し千葉聡・東北大大学院教授(生態学)は、
《「『生き残るのは変化に対応できる生き物』としていた当時の演説よりも、『変化できる者』とした今回はさらに改悪している」と問題視する。「適応というのはあくまでも結果であって、意図を持って変えることではない。生物学の考え方を政治に持ち込むこと自体に大きな問題があり、危険だ」と強調する。》(毎日・同)
ここで考えたいのは、いつしか政治家が「改革」を訴えればそれだけでウケるようになったこと。保守を自認する側は確実な歩みや調整を訴えるのが筋だと思うが、とにかく「改革」「変化」は無条件でウケた。だから言葉の刺激がどんどん大きくなった。
たとえば東京都知事選に立候補している小池百合子氏は「東京大改革2.0」を掲げているが、私はこの「大改革」というのがよくわからない。「改革」で十分ではないか?
皮肉を言うなら何も改革をしてこなかったから「大改革」なのだろう。それはただの言葉の無駄遣いであり空虚になるだけ。そんなことも今回のダーウィン誤用例の件から考えたのである。
ちなみにNHK「100分de名著」が「種の起源」回の再放送を発表。 ツイッター は盛り上がった。これはNHKの進化だろうか。
官邸SNS運営を担うのは誰か?
では実際、自民党の情報発信はどうおこなわれているのか。読売新聞が5月27日に興味深い記事を書いていた。
《安倍内閣の情報発信のやり方には定評がある。内閣広報室のSNS班に20~30歳代を主体に約10人を配し、特に内閣支持率や自民党支持率の高い若年層に訴求力のある手法も取り入れた。》
昨年7月3日の朝日新聞には、
《官邸のSNS運営は、民間企業からの出向も含む内閣広報室の20代、30代の若手職員約10人らが担う。首相や官邸がSNSに力を入れるのは、支持層固めを意識するためだ。》
注目したいのは「民間企業からの出向」という部分。どこなんでしょう?
読売の記事に戻ると、官邸の情報発信がコロナ禍では「国民の感覚とどこかずれた発信を繰り返し、痛手をこうむった」。その例として「アベノマスク」と「星野源動画コラボ」を挙げている。
《「若者に受けますよ」。首相秘書官の一人がそう言って、安倍に持ちかけたものだ。》というが、《安倍の「優雅な週末」の様子は、休業や自宅待機で先の見えない生活にいらだつ多くの人々の神経を逆なでした。》(読売・5月27日)
そういえばアベノマスクも「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えますから」と官邸官僚が提案したと言われる。同一人物説もある。読売のタイトルは「読めぬ民意 発信不発」であった。
記事の最後は首相が側近に言ったとされる言葉で終わっている。
「世の中の声が官邸に伝わりにくくなっている。真剣に反省しないといけない」
これまでイケイケだった情報発信が今年は不発が多い。ここから何が見えるのか。官邸官僚など限られた側近の言葉しか入らない安倍一強の意外なモロさか?
それにしても「若者に受けますよ」とか「不安はパッと消えますから」とか、なんだかなぁ。
ここ最近の政治とSNSについて振り返ってたら、言葉の軽さに気がついたのである。
河井克行前法相のLINEアカウント名は「あらいぐま」
最後に、河井夫妻の件。
私が気になったのは河井克行前法相のLINEだ。秘書とのLINEグループで納得がいかないことがあると、すぐに厳しいメッセージを送って見せしめにしていたという。
そんな河井克行のアカウント名は「あらいぐま」だった。
あらいぐま「君はホントに軽くて不注意だ。きちんと人の話を聞きなさいよ」
あらいぐま「必要な報告項目を漏らすな」
あらいぐま「誤字。」
あらいぐま「おい、●●(※名前)さま!明日の配布資料は何だ」
あらいぐまに謝ってほしい。この記事を載せた産経新聞(6月20日)を読みながら強く思った。
「パワハラに耐えられない」と事務所を辞めるスタッフは多かったという。
そもそもなんで「あらいぐま」?
元秘書の話。
《容姿がクマに似ているからだけではなく、『手を洗う』というクリーンなイメージを表していると聞いた。》(産経・同)
もう一度言うがあらいぐまに謝ってほしい。
「このような大規模な買収事件を起こして、何がクリーンなのか」(元秘書)。まったくだ。子どもの頃に「あらいぐまラスカル」を見た年代としては納得がいかない。
あらいぐまがどれだけ可愛いか証明したい。そう思って生態を調べてみた。すると、
《見た目とは異なり気性は荒く、人に危害を加える恐れもあり、感染症をもたらす可能性もあります。日本の在来種を補食するため在来生物の生存を脅かす危険性もあり、さらに日本全国で農作物に深刻な被害をもたらしています。》(農林情報メディア「INOHOI」)
本人にピッタリだった。ちなみに、「在来生物の生存を脅かす危険性」という部分の「在来生物」を「自民党」に置きかえてみると、合うかもしれない。
しばらくは「あらいぐまカワイ」を見守りたい。
(プチ鹿島)