【コロナ禍が生む「嫌日外国人」】#7
大学などへの進学や就職に必要な証明書の発行を拒み、留学生に系列の専門学校への内部進学を強要していたA日本語学校(宇都宮市)。内部進学による学費の吸い上げ以外にも、A校はあの手この手で留学生を食い物にしていた。そのひとつが寮費のボッタクリだ。
A校の留学生たちは入学前、月3万円の寮費6カ月分を前払いさせられていた。そのやり方が汚い。
■1部屋に4つの2段ベット
A校のホームページには、広々とした部屋に2段ベッドが1つ、それに対面式の机と椅子が置かれた写真が載っている。2人部屋をイメージさせる写真だ。しかし実際は、この部屋に6~7人の留学生が詰め込まれていた。2段ベッドも1部屋に4つ並べられている。ベトナム人留学生のアン君(20)が言う。
「部屋は2段ベッドだけでいっぱいでした。机どころか、荷物を置く場所もないほど。女子留学生の部屋も同じです」
アン君が撮った写真には、留学生たちが部屋の床に皿を並べ、ベッドの隙間で食事を取る様子が写っている。日本とは思えない、まさに「タコ部屋」状態。A校は、貧しい国から来た若者だからとたかをくくり、なめきっているのだ。
留学生たちは騙されたと気づいても、寮費を前払いしているのですぐには引っ越せない。A校は当初から騙す目的で、寮費を前払いさせるのだ。
実は、この2~3年でA校の留学生は大きく減っている。入管当局が目をつけ、留学ビザの審査を厳しくした影響だ。結果、寮には空き部屋が生じ、一部を賃貸物件として外部に貸し出そうとしていた。賃料は月6万円程度だ。
一方、アン君らは7人で月3万円ずつ支払っていた。A校の収入は月21万円。相場6万円の部屋で20万円以上を得ているのだから、かなり悪質だ。
大勢の留学生を1部屋に押し込む寮費のボッタクリは、日本語学校業界では広く横行している手口である。筆者が取材した別の学校は、3部屋の一軒家に20人以上を住まわせ、1人当たり月2万5000円を徴収していた。場所は東京の外れで、相場の何倍もの家賃収入を得ていたのだ。
大手メディアが人権侵害の被害者として頻繁に報じる外国人実習生の場合、受け入れ企業には「1部屋2人以下」で住まわせる義務がある。だが、日本語学校の寮には法律の規制が何もない。そのため事情に疎い留学生たちが、悪質な日本語学校の餌食となる。そうした実態に新型コロナウイルスが拍車をかけているというのに、新聞やテレビでは全く報じられない。 (あすにつづく)
(出井康博/ジャーナリスト)