全町民に使い捨てマスク5枚を配布するという神奈川県湯河原町の新型コロナウイルス対策が、波紋を広げている。事業費は約530万円で、配布時期は未定。街中に安価なマスクが出回り始めている中、町内からは「なぜ今さら」と疑問の声が上がっている。
マスク配布事業を含んだ補正予算は、10日に町議会で賛成多数で可決・成立した。対象は配布時に町に住民登録がある人で、「注意喚起」の文書とともに郵送する。町はホームページでこの事業について「第2波、第3波への備えと、今後も危機意識を持続いただく注意喚起の意味を込め」たと説明している。
町によると、配布するマスクは1枚25円と想定。約13万枚が必要となるため、費用は533万2000円を見込んだ。このうち133万9000円は郵送代。政府が配った「アベノマスク」と呼ばれる布マスクは1世帯に2枚だったが、この事業では1人あたり5枚を配る。
マスクは民間業者に調達してもらう予定だが、町によるとまだ業者は決まっていない。担当者によると、初めての事業のためノウハウがなく「手探りの状態」で、配布時期は現時点で見通せない。
感染が拡大した4、5月はマスクの入手が困難だったが、現在は並ばずに購入できる状況になっている。アベノマスクが不評を買った後に決まった対策に、疑問の声も上がる。
この配布事業を問題視し、補正予算案に反対した土屋由希子町議(無所属)は「時機を逸し、必要ないという意見がある。税金を使っているという意識が低いのではないか」と批判している。【樋口淳也】